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不使用商標取消訴訟における商品の同一性に関する判決

弁理士 鄭 錫鳥  

1. 不使用商標取消訴訟における商品の同一性
不使用商標取消訴訟において当事者間で主に対立する争点は、登録商標と使用商標の同一性、取消対象商品と使用商品の同一性、正当な商標使用権者の使用、及び提出された使用証拠の有効性である。この中で最も立証が難しいのが、取消対象商品と使用商品の同一性である。
商標権侵害訴訟や商標登録出願決定では、比較対象商品が同一・類似であるか否かにより決定されるが、不使用商標取消訴訟では、登録商標はその指定商品と同一の商品又は同一であるようにみることができる商品に使用されなければならず、類似の商品への使用は使用と認められない。

2. 不使用商標取消訴訟において取消対象商品と使用商品の同一性を認めた判決と認めなかった判決

(1) 取消対象商品と使用商品の同一性を認めなかった判決
1) 事件番号: 2000フ3166(大法院2001年1月19日宣告)
指定商品: 米、大麦、玄米粉、大麦粉
使用商品: 穀物または野菜粉末を混合した即席乾燥健康食品
判決要旨: 使用商品に、指定商品の一部がその食品の成分の一部として含まれているとしても、個々の穀物ないし穀粉である指定商品と使用商品である「穀物または野菜粉末を混合した即席乾燥健康食品」は、取引社会の通念上同一性のあるものとはみがたい。

2) 事件番号: 2019ホ6495(特許法院2020年6月12日宣告)
指定商品: 医療用電気温熱マット
使用商品: 非医療用電気温熱マット
判決要旨: 「医療用電気温熱マット」は、単なる保温のためではなく、筋肉痛の緩和等の治療目的として使用するもので、医師の処方や指導が必要であり、製造に関して食品医薬品安全処長の許可を受けなければならないだけでなく、厳格な品質管理基準 を充足しなければならないから、単なる保温のために使用する「非医療用電気温熱マット」と取引社会の通念上同一性のある商品とはみがたい。

3) 事件番号: 2007ホ2407(特許法院2007年10月5日宣告)
指定商品: アロエ汁が含まれた野菜ジュース
使用商品: アロエエキスゴールド
判決要旨: 「アロエ汁が含まれた野菜ジュース」は、アロエが野菜ジュースの原材料という意味ではなく、アロエ以外の野菜で作った野菜ジュースにアロエ汁が含まれていることを意味するとみなければならない。使用商品「アロエエキスゴールド」は、アロエを除いて野菜が全く含まれていないから、「アロエ汁が含まれた野菜ジュース」と同一性のある商品とはみることができない。

(2) 取消対象商品と使用商品の同一性を認めた判決
1) 事件番号: 2010フ3622(大法院2011年7月28日宣告)
指定商品: 竹塩成分を含む歯磨き粉
使用商品: 塩化ナトリウムが主成分として表示された歯磨き粉
判決要旨: 指定商品「竹塩成分を含む歯磨き粉」と使用商品「塩化ナトリウムが主成分として表示された歯磨き粉」は、その品質に多少の違いがあり得るとしても、両商品の用途・形状・使用方法・流通経路及び供給者と需要者が異なるとはいえないので、「塩化ナトリウムが主成分として表示された歯磨き粉」と「竹塩成分を含む歯磨き粉」は、同一性のある商品に該当する。

2) 事件番号: 2012フ2036(大法院2012年11月15日宣告)
指定商品: 化粧用マスク
使用商品: 毛髪頭皮パック
判決要旨: 「毛髪頭皮パック」は、頭皮と毛髪に塗布して一定時間後に水で洗い流す点で「化粧用マスク」と用途及び使用方法が同じであるとみることができ、「毛髪」、「頭皮」、「ヘア」に限定することなく「マスク」という用語のみを使用する毛髪・頭皮用製品が一般の取引界において多数流通している点等を考慮するとき、「毛髪頭皮パック」は「化粧用マスク」に含まれるから、両商品は、取引社会の通念上同一性のあるものといえる。

3) 事件番号: 2009ホ2722(特許法院2009年11月13日宣告)
指定商品: パズルブック
使用商品: パズル用の絵一片
判決要旨: 「パズルブック」は、「パズル用の絵一片」を含む様々な形態のパズルを利用した製品を意味するというべきであるから、指定商品「パズルブック」と使用商品「パズル用の絵一片」は、取引通念上商品の同一性範囲内にあるというべきである。

3. むすび
上記のように、不使用商標取消訴訟において取消対象商品と使用商品の同一性を認めた判決と認めなかった判決を考察した。
判例は「取引社会の通念上同一性のある商品とは、両商品の品質・用途・形状・使用方法・流通経路及び供給者と需要者等の商品の属性と取引の実情を総合的に考慮して客観的に判断しなければならない」(大法院2008年5月29日宣告2006フ2967判決等)としている。
不使用商標取消訴訟の全事件における指定商品と使用商品は上記の判決で紹介された指定商品と使用商品とは一致しないため、指定商品と使用商品の同一性主張又は同一性否定主張のための確実な根拠資料とはなり得ない。
したがって、訴訟当事者が指定商品と使用商品の同一性主張又は同一性否定主張を立証するためには、指定商品と品質・用途・形状・使用方法・流通経路及び供給者と需要者等の商品の属性と取引の実情を分析し、主張を裏付けることができる証拠資料とともに上記の判決を引用して裁判部を説得するしかなく、結果は裁判部の判断に委ねられる。
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