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出願商標「『natura』+図案化された『BeC』」は先登録商標「Natura」と類似しないとした判決(特許法院2022ホ2745)

弁理士 鄭 錫鳥

特許法院は、本件出願商標「『natura』+図案化された『BeC』」は、先登録商標「Natura」と外観、呼称、観念がすべて異なり、一般需要者がその商品の出所について誤認・混同を生ずるおそれがない商標に該当すると判決した。

1. 事件の概要
(1) 特許庁は、3類「hair lotions, skin whitening creams」等を指定商品とした本件出願商標「『natura』+図案化された『BeC』」(国際登録1462867)は、3類「スキンミルク、香水」等を指定商品とした先登録商標「Natura」(韓国登録40-582014)と類似し、商標法第34条第1項第7号に該当すると登録拒絶決定する(2020年9月18日)。
(2) 原告は、上記拒絶決定に対して特許審判院に不服審判を請求する(2020年10月20日)。
(3) 特許審判院は、本件出願商標は、先登録商標と標章が類似し、指定商品も類似するから、商標法第34条第1項第7号に該当すると審判請求を棄却する(2022年2月17日)。
(4) 原告は、特許審判院の審決を不服とし、特許法院に審決取消訴訟を提起する。

2. 特許法院判決(2022年12月2日)の要旨
(1) 本件出願商標中の「natura」部分に関連する事実
a) 「natura」は「自然」を意味する名詞で、その意味を説明する内容が記載されたマスコミ記事が多数報道された。
b) ネイバーショッピングというショッピングサイトにて「nature化粧品」と入力して検索すると、化粧品製品計158,498件の検索結果が、「natura」と入力して検索すると、化粧品、シャンプー、香水等計8,928件の検索結果がそれぞれあらわれた。
c) 「Nature Edition」、「Nature Room」、「NATURE PLANET」、「natural time」、「NATURAQUA」、「ATURASIBERICA」等のように、「nature」、「natural」、「natura」等を含む標章が3類を指定商品として多数登録されている。
(2) 判断
上記認定事実に鑑みると、本件出願商標の「natura」は要部とみることができず、「『natura』+図案化された『BeC』」が要部に該当するとみることができる。
a) 本件出願商標は、特に図案化されていない英文「natura」が左側に縦に配置されており、図案化された英文「BeC」が暗い背景色の四角形内に配置され右側に形成されている商標である。
b) 「natura」部分は、①本件出願商標において左側に比較的小さなサイズで表示されている。 ②「自然」を意味するものと需要者が容易にわかる。 ③指定商品である「化粧品」等の商品の取引界において、「天然由来成分」が原材料として使用された旨を広告するために、「natura」という単語が頻繁に使用されている。 ④商品名に「natura」を含む化粧品製品が多数存在している。
このような点を総合すると、本件出願商標中の「natura」は、識別力が微弱である。
c) 「『natura』+図案化された『BeC』」は、①図案化により一般需要者に強い印象を与える。②全体の商標に占める比重が「natura」よりも大きい。 ③指定商品とは何の関わりもない造語に該当する。
このような点を総合すると、「『natura』+図案化された『BeC』」は、「natura」よりも相対的に識別力が高いと判断される。

したがって、本件出願商標の要部「『natura』+図案化された『BeC』」と先登録商標「Natura」は、外観、呼称、観念がすべて異なり、一般需要者がその商品の出所について誤認・混同を生ずるおそれがあるとはいえないから、商標法第34条第1項第7号に該当し、商標登録を受けることができないとの審決は、違法である。

3. むすび
図形と文字又は文字と文字が一連不可分的に結合して構成された商標の場合は、その全体から生ずる称呼を通じて、類否を判断することが、原則である。ただし、結合商標であっても、需要者の目を引く主要部が別にある場合、その部分の称呼を重点的に比較して類否を判断する。
1つの商標において2つ以上の識別力のある称呼が生ずる場合は、それぞれの称呼を対比して類否を判断するのが、商標の類否判断基準である。
特許審判院は、本件出願商標「『natura』+図案化された『BeC』」を構成している「natura」と「『natura』+図案化された『BeC』」それぞれを識別力のある主要部とみて、商標の類否判断基準に基づき、本件出願商標の1要部「natura」が先登録商標「Natura」と類似するとの理由で、原告の審判請求を棄却する審決をした。
特許法院は特許審判院の審決に対する取消訴訟において、本件出願商標中の「natura」は、指定商品について識別力が微弱であるから、「natura」のみに呼称される可能性が少なく、先登録商標と類似しないとの理由で、特許審判院の審決を取り消す判決をした。

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