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同一の構成や属性を有する場合の特許発明の新規性判断方法に関する事例

1. 序論
大法院は最近、特定の製造方法により作製された物に関する公知の論文である先行発明について、これと同一の構成や属性を有する特許発明の新規性判断方法に関する基準を説示した(大法院2021年12月30日宣告2017フ1304判決)。

2. 事案の内容
1) 特許発明と先行発明との対比
先行発明は、「エアロゾルデポジション法により形成されたPZT厚膜の微細構造及び電気的特性」という題目の論文であり、公知の物それ自体ではなく公知の文献である。したがって、先行発明において対比対象となるのは、先行発明に提示された製造方法により製造された膜状構造物である。
特許発明と先行発明とは、「脆性材料微粒子を常温で高速噴射して基材表面に衝突させることで微粒子を変形又は破砕して作製された膜状構造物に係るもので、その結果粒子間の結合力がより高い複合構造物が形成される」という点で共通するが、特許発明は、「結晶同士の界面にガラス層からなる粒界層が存在しない」ことを記載している点で先行発明と異なる。

2) 出願日以降の公知の先行論文
本件特許発明の出願日以降に公知となった、先行発明と同じ製膜方式の膜状構造物に関する論文(以下「先行論文」という)である「微粒子、超微粒子の衝突固化現象を用いたセラミックス薄膜形成技術」では、先行発明の膜状構造物のTEM(透過型電子顕微鏡)撮影写真と、これより改善された方式であるHRTEM(高分解能透過型電子顕微鏡)撮影写真を開示し、「これらは、加熱なしでSi基板上に室温成膜されたPZT厚膜の熱処理前後のTEM像である。膜内には原料粉末に近い大きさの結晶子が部分的に見られるが、HRTEM像や電子線回折像からも結晶子間、粒子間にアモルファス層や異相は殆ど見られず、全体としては20nm以下の微結晶で構成されている。」 と説明している。すなわち、先行論文によれば、先行発明に開示された写真の膜状構造物も結晶子間の界面にアモルファス層である粒界層が存在しないということを確認することができる。

3. 大法院の判断
1) 判決要旨
物の発明において、これと同じ発明がその出願前に公知であったか公然に実施されたことが認
められれば、その発明の新規性は否定される。特許発明において構成要素として特定された物の構成や属性が先行発明に明示的に開示されていない場合であっても、先行発明に開示された物が特許発明と同一の構成や属性を有するという点が認められれば、これは、先行発明に内在する構成又は属性とみることができる。これは、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が出願当時にその構成や属性を認識できなかった場合にも同様である。また、公知の物の内在する構成又は属性を把握するために、出願日以降に公知となった資料を証拠として使用することができる。
先行発明に開示された物が特許発明と同一の構成又は属性を有しうるという可能性又は蓋然性だけでは両発明が同一であるとはいえず、必然的にそのような構成又は属性を有するという点が証明されなければならない。すなわち、先行発明が公知の物それ自体である場合には、その物と特許発明の構成を対比して両発明が同一であるかどうかを判断することができるが、先行発明が特定の製造方法により作製された物に関する公知の文献である場合、先行発明に開示された物は先行発明に開示された製造方法により製造された物であるから、先行発明に開示された製造方法に従った場合の偶然の結果でありうる限り、実施例が上記のような構成又は属性を有するという点を超えて、その結果物が必然的に当該構成又は属性を有するという点が証明されてはじめて、先行発明と特許発明が同一であるといえる。

2) 結論
先行発明と先行発明に関連する先行論文を参照すれば、先行発明に記載された製造方法に係る一実施例がガラス層からなる粒界層が存在しないという構成を有するという点は確認されるが、先行発明に記載された製造方法に従ったとき必然的にアモルファス層が存在しない結果物に到達するかどうかを知ることができる資料がないため、特許発明と先行発明が同一であるとはいえない。したがって、特許発明の新規性が否定されない。

4. コメント
本判決によれば、先行発明に開示された物の内在する構成又は属性が具体的に開示されていなくても、特許発明と同一の構成や属性を有するという点が証明されれば、特許発明の新規性が否定されうる。ただし、これを主張する者は、先行発明に開示された物が特許発明と同一の構成や属性を有しうるという可能性又は蓋然性を超えて、必然的に同一の構成又は属性を有するという点を証明しなければならない立証責任を負う。このときこれを証明するために、出願日以降に公知となった資料を証拠として使用することもできる。
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