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一事不再理違反を理由とした先行する「却下審決」が一事不再理の原則適用のための「確定審決」に該当するか否か(大法院2021年6月3日宣告2021フ10077判決)

1. 事案の概要
原告(特許権者)の特許発明について、先行発明3に基づき特許発明の進歩性が否定されるとする無効審判は特許審判院で棄却され、特許法院での審決取消訴訟も棄却されて審決が確定した(先行確定した棄却審決)。
以後、特許発明について先行発明1及び3に基づく進歩性否定を理由とした追加的な無効審判請求があったが、先行発明1は確定した従前の棄却審決を覆しうるほどの有力な証拠ではないから一事不再理の原則に違反して不適法であるとの理由で特許審判院で却下され、特許法院での審決取消訴訟も棄却されて審決が確定した(先行確定した却下審決)。

特許審判院は、先行発明1及び2を理由に特許発明の進歩性が否定されるとする被告の追加的な後続の無効審判において審判請求を認容する認容審決をし、続く本事案の原審において特許法院は「同一事実及び同一証拠に基づく審判がなされた確定した却下審決は特許法第163条の先行確定審決に該当するから、先行確定却下審決において提出された同一証拠である先行発明1に新たに提出された先行発明2を結合しても第1項訂正発明の進歩性が否定されるとみることができないので、先行発明2は先行確定審決を覆しうる有力な証拠ではないから、本件審決は一事不再理の原則に反して不適法な審判請求を却下せず違法で取り消されるべきであると判断した。

2. 関連法理
特許法第163条は「この法による審判の審決が確定したときは、その事件については、何人も、同一事実及び同一証拠に基づいて再び審判を請求することができない。ただし、確定した審決が却下審決である場合は、この限りでない。」と規定し、確定した審決について一事不再理の原則を採用している。この一事不再理の原則は、濫用的な審判請求を規律することで審判手続の経済性を図るための趣旨で規定されたものである。

「同一事実」とは、当該特許権との関係において確定が要求される具体的事実が同一であることをいい、「同一証拠」とは、その事実と関連性を有する証拠であって、前に確定した審決の証拠と同一の証拠だけでなく、その確定した審決を覆しうるほどに有力ではない証拠が付加されることも含む(大法院2005年3月11日宣告2004フ42判決等参照)。

3. 大法院の判断
確定した審決が審判請求の適法要件を備えておらず却下された審決である場合は一事不再理の効力がないとする特許法第163条但し書き規定は、新たに提出された証拠が先行確定審決を覆しうるに足る有力な証拠であるかに関する審理・判断がなされた後、先行確定審決と同一証拠に基づく審判請求という理由で却下された審決である場合も同様に適用される。それにもかかわらず原審は、一事不再理原則違反を理由に却下された確定審決において同一証拠に基づく審判請求であるかが問題となり、進歩性否定の可否について実体判断がなされた場合はその却下審決を一事不再理の効力を有する確定審決とみることができるとみて、本件審判請求はその確定審決の一事不再理の効力により不適法であると判断した。かかる原審判決には、一事不再理の原則に関する法理を誤解して判決に影響を及ぼした誤りがある。

4. 対象判決の意義
同一事実及び同一証拠に基づく審判がなされた確定した却下審決を一事不再理原則適用のための先行確定審決とみるならば、後続の審判において証拠が新たに提出されるたびに、一事不再理原則適用判断のために新たに提出された証拠と確定した却下審決における証拠間の「同一証拠」の可否を判断しなければならないから、審判請求の適法性判断のために本案判断が必要な結果となり、審判手続の経済性を図る一事不再理の原則に合致しない。

したがって、本判決は、一事不再理の原則が否定される特許法第163条但し書きの適用のための却下審決には、単に却下された審決の他にも、新たに提出された証拠の審理・判断がなされた理由で却下された審決の場合を含むということを明確に確認したという点で、その意義がある。

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