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指導教授の指示により実験を行った大学院生参加研究員の共同発明者としての地位を否定した事例(特許法院2021年12月3日宣告2021ホ1424判決)

特許法上の発明者に該当するとするためには、技術的課題を解決するための具体的な着想を新たに提示、付加又は補完したり、実験等を通じて新たな着想を具体化したり、発明の目的及び効果を達成するための具体的な手段と方法の提供又は具体的な助言、指導等を通じて発明を可能にした場合等のように技術的思想の創作行為に実質的に寄与することに至らなければならない(大法院2012年12月27日宣告2011ダ67705、67712判決、大法院2011年7月28日宣告2009ダ75178判決等参照)。

しかし、単に発明の基本的な課題とアイデアのみを提供したり、研究者を一般的に管理し研究者の指示でデータの整理と実験のみをした場合、又は資金、設備等を提供して発明の完成を後援又は委託しただけの程度等にとどまる場合は、発明の創作行為への寄与を認められなくなり、結局発明者としての地位を否定されることになるが、本特許法院事例では大学院生参加研究員について、指導教授の指示により実験を行ったに過ぎないとして、彼らの共同発明者としての地位を否定しており、これについて具体的に考察したい。

1. 事案の概要
大学研究室の指導教授と博士課程大学院生参加研究員が国家研究開発課題を遂行し、このとき開発された技術について特許出願をしたが、実験を担当した大学院生参加研究員二名は共同発明者として記載されないまま、当該特許出願は特許登録となった。

これに対し、参加研究員二名は共同出願規定違反で特許無効審判を請求したが、特許審判院は「原告らは本件特許発明の製造及び実験の一部基礎実験に参加したことは認められるが、これは実験を単に補助した水準に過ぎないので、本件特許発明の真正な発明者とみることができない」との理由で、原告らの審判請求を棄却する審決をし、原告らはこれを不服とし特許法院に控訴した。

2. 基本法理
二人以上が共同で発明をしたときは特許を受けることができる権利を共有し、その場合、共有者全員が共同で特許出願をしなければならず、特許を受けることができる権利が共有である場合は、各共有者は他の共有者全ての同意を得ればその持分を譲渡することができる(特許法第33条第2項、第37条第3項、第44条)。このような規定に反して登録された特許は無効であり、こうした登録無効事由の立証責任は、その無効を主張する者にある。

特許法上の発明者(共同発明者を含む)に該当するとするためには、単に発明の基本的な課題とアイデアのみを提供したり、研究者を一般的に管理し研究者の指示でデータの整理と実験のみをした場合、又は資金、設備等を提供して発明の完成を後援又は委託しただけの程度等にとどまらず、発明の技術的課題を解決するための具体的な着想を新たに提示、付加又は補完したり、実験等を通じて新たな着想を具体化したり、発明の目的及び効果を達成するための具体的な手段と方法の提供又は具体的な助言、指導等を通じて発明を可能にした場合等のように、技術的思想の創作行為に実質的に寄与することに至らなければならない(大法院2012年12月27日宣告2011ダ67705、67712判決、大法院2011年7月28日宣告2009ダ75178判決等参照)。

3. 具体的事案の争点及び判断
特許法院は、特許発明の技術思想は2008年10月に指導教授により最初に着想され、原告らは指導教授の指示を受けて原料を購入して実験を行っただけで、新たなアイデアの着想、実験全般の計画及び具体的な実験方向の指示は指導教授により提示されたことを研究ノートと電子メールを通じて確認できる反面、原告らによりアイデアが導き出されたことを認めるに足る何らの証拠もなく、実験結果をきちんと確認することが難しい難関を原告らが設備会社に問い合わせて克服したとする主張は、指導教授の提示した着想を実験で具体化するための過程で発生する実験上の単なる問題点を解決したに過ぎないので、発明の技術的課題を解決するための具体的な着想をしたとか、発明の目的及び効果を達成するための具体的な手段と方法を提供したと認めがたいと判断した。

また、原告らは、証拠として採用された研究ノート以外に、原告らが当該特許発明の創作行為に寄与した内容が記載されている研究ノートがさらに作成されたと主張したが、特許法院は、そのような他の研究ノートの存在や記載内容が証拠を通じて確認されていないとした。

したがって、特許法院は、原告らが発明の設計や関連する着想に関与したり、実験過程で難関に逢着してその解決策を提示したり、実験条件を変更する等の方法で積極的に発明の目的及び効果を達成するための具体的な手段と方法を提供したことを認めるに足る何らの証拠もないので、原告らが共同発明者に該当するとはみがたいとし、原告らの控訴を棄却した。

4. コメント
発明者は一種の名誉権で、特許権に対して実質的な影響力がほとんどないとみることができるが、時折、商業的に成功した特許技術について発明者が訴訟を通じて事後的に正当な補償金の賠償を受けられる場合もある。こうした補償金訴訟では、共同発明者としての地位の認否が他の共同発明者の補償金認定持分にも影響を及ぼすため、重要な論点として扱われることもある。


本特許法院事例では、アイデアの着想や改善には至らなかった実験遂行過程での問題点解決にとどまる研究員の行為は、発明者として認められるには不十分であることを示しているが、こうした結果は、研究ノートや電子メールのような証拠を通じて導き出されており、研究過程の記録の重要性を改めて確認することができる。
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