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選択発明の進歩性判断基準の緩和

選択発明は先行発明には上位概念で表現されているが、請求項に記載された発明は下位概念で表現された発明で、先行発明には直接開示されていない事項を発明の必須の構成要素の一部として選択した発明を意味する(2001Hu2740)。

1. 選択発明の進歩性判断基準
韓国特許庁の特許審査基準及び大法院判例によると、公知技術から実験的に最適なものを選択することは一般的に通常の技術者の通常の創作能力の発揮に該当するとの理由で、選択発明の進歩性を認めないのが原則である。しかし、選択発明が先行発明に比べて優れた効果を有する場合に、例外として選択発明の進歩性が認められる場合もあり、ただし、選択発明に含まれる下位概念全てが先行発明の有する効果と質的に異なる効果を有すること、或いは質的な差異がなくても量的に顕著な差異があることが要求される(2008Hu736)。

また、選択発明の発明の詳細な説明には、先行発明に比べて上記のような効果があることを明確に記載すれば足り、その効果の顕著さを具体的に確認することができる比較実験資料まで記載することまでは要求されない。もし、その効果が疑わしくて進歩性が認められないとの理由で拒絶理由が通知されたときは、出願人は比較実験資料を提出する等の方法によってその効果を具体的に立証することができる。

しかし、先行発明と量的に顕著な差異があることを示すには、特許請求の範囲に記載された全体発明が先行発明に比べて顕著に優れた効果を発揮することを立証する必要があり、量的な顕著な差異について審査基準では、先行発明に比べて10倍程度優れた効果を発揮する発明を例示しているだけなので、進歩性判断基準がかなり厳格であることが分かる。

2. 改訂審査基準における選択発明の進歩性判断基準の緩和
2020年改訂審査基準では、出願発明が一見、先行発明の選択発明と思われるとしても、先行発明の明細書に記載された内容が出願発明の上位概念となるには不十分な場合は、出願発明を先行発明の選択発明とみず、一般的な発明のように進歩性を判断することができるとして、先行発明の開示程度に応じて厳格な選択発明の進歩性判断基準を緩和させることができるようになった。

具体的に、審査基準では、次の二つの場合に選択発明の進歩性判断基準を緩和させている(2018Heo2717)。

第一に、先行発明において出願発明を排除する否定的教示又は示唆がある場合である。このとき、先行発明に具体的な実施例が開示されていないという事情だけでは否定的教示又は示唆がある場合とはいえず、先行発明が明示的に出願発明の特徴とは逆の教示又は示唆をしているか、又は少なくとも出願発明の採用した方法とは異なる方向に導く等の事情があることが要求される。

第二に、特許出願当時の技術水準に照らし先行発明に開示された上位概念から出願発明の下位概念を導出するには先行発明の開示事項では不十分な場合である。すなわち、先行発明が数多くの下位概念を包括しているため、先行発明が明らかにした効果が広範囲の下位概念において適切に確認されない場合は、先行発明は出願発明の上位概念としての役割を果たすことができないということである。

このように、改訂審査基準によると、出願発明が一見、先行発明の選択発明と思われるとしても、先行発明の明細書に記載された内容に応じて選択発明の進歩性判断基準を緩和させることができるようになった。

3. コメント
これまでは、先行発明の明細書に出願発明の上位概念となり得る記載があれば、出願発明の進歩性判断時に厳格な選択発明の進歩性判断基準が機械的に適用されていた。しかし、改訂審査基準では、先行発明の明細書に記載された内容に応じた選択発明の進歩性判断基準ではなく、緩和された一般的な進歩性判断基準が適用されるようになった。したがって、選択発明の関係にある出願発明の進歩性の判断においては、先行発明の綿密な分析と、判断基準の弾力的な適用がより重要になってくる。

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