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特許権侵害訴訟における特許権者の⽴証負担軽減のための資料提出命令制度

これまで、特許権者が侵害者に特許権侵害訴訟を提起したとしても、侵害⽴証に必要な証拠
がすべて侵害者にある場合、⽴証が困難であった。韓国⺠事訴訟法に⽂書提出命令制度はあ
るが、提出資料が⽂書に限定され、命令履⾏を誘導するための実効的な⼿段が不⼗分で、こ
の制度だけを活⽤して証拠を収集するのは現実的に困難であった。

このように、特許権者が侵害⽴証に難渋する実務に対する改善策として、2016 年6 ⽉30
⽇から施⾏されている改正特許法第132 条の資料提出命令制度は、提出資料の範囲を拡⼤
し、営業秘密にあたる資料であっても、閲覧制限を条件に提出を強制できるようにし、資料
提出命令に応じない場合の効果に関する特則を導⼊した。

1. 資料提出命令制度
韓国特許法上の資料提出命令制度とは、特許権侵害訴訟の当事者の申請により法院が相⼿⽅
に対し侵害の証明⼜は侵害による損害額の算定に必要な資料の提出を命ずることができる制
度である(韓国特許法第132 条第1 項本⽂)。

これまでは、提出申請の理由が損害額の算定に限定され、提出対象も書類に限定されていた
が、改正法では、損害額の算定だけでなく、侵害の証明のために、書類から他の資料(例え
ば、実物や動画)まで提出を申請することができる。

相⼿⽅は命令に従い資料を提出しなければならず、不履⾏の場合は、下記のような不利益を
被る。

2. 資料提出命令不履⾏の効果
資料提出命令を受けた者が命令を不履⾏の場合、法院は資料の記載に関する申請⼈の主張を
真実と認めることができ、また、⼀定の要件を満たす場合、申請⼈が資料の記載に基づき証
明しようとする事実に関する主張(すなわち、⽴証しようとする事実)を真実と認めることが
できる(同条第4 項、第5 項)。

特許権侵害を主張される相⼿⽅は、資料提出命令に応じない場合侵害が認められるかもしれ
ないという圧迫を受けることになるので、新たに導⼊された資料提出命令不履⾏の効果に関
する特則は、資料提出命令の実効性を⾼める働きをすることになる。また、特許権者にとっ
ては、⽴証のための有⽤な武器として資料提出命令制度を活⽤することができる。特に、こ
れまで、製造⽅法発明の特許権者は、侵害者の⽣産⽅法を確認することが⾮常に難しいこと
から、適切に権利救済がなされない場合が多かったが、資料提出命令制度を通してより容易
に証拠を⾒つけることができる。

3. 資料提出拒否の正当な理由
⼀⽅、特許権侵害を主張される相⼿⽅の⽴場では、資料提出命令の申請があったとしても、
正当な理由があればこれを拒否することができる(同条第1 項但書)。これに関連して、改
正法では、当該資料が侵害の証明⼜は損害額の算定に必ず必要なときは、営業秘密を正当な
理由に主張できないようにし、代わりに法院が資料を閲覧することができる範囲⼜は者を指
定できるようにしている(同条第3 項)。

特許権侵害訴訟では、侵害者の⽣産マニュアル、売上帳等の企業の営業秘密にあたる資料が
必要な場合が多い。これまでは、企業が営業秘密と主張する場合、提出を強制することが難
しかったが、今回の改正により、判事、弁護⼈等に閲覧者を制限して関連資料の提出を強制
できるようになった。

資料提出命令が訴訟の勝敗に重要な影響を及ぼす可能性があるため、今後正当な理由が存在
するかどうかが実務上重要に扱われるものと予想される。

4. 資料提出命令の活性化に期待
今回改正された資料提出命令により、これまで特許権者が抱えていた⽴証の困難がある程度
解消されるものと期待される。これにより、侵害訴訟における特許権者の勝訴率を⾼めて実
質的に損害賠償額を⾼める効果をもたらし、技術奪取事例が減少するものと予想される。
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