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不良特許除去のための特許取消申請制度

1. 制度の趣旨

この数年で韓国特許庁の審査処理期間が短縮されるにつれ、出願公開前に特許決定となる割合が大きく増加している。これにより、発明公開後、公衆の特許審査参与機会(情報提供制度)が縮小した。このような状況を補完すべく、韓国特許庁は2017年3月から特許取消申請制度を運用している。同制度によれば、特許権の設定登録後、一定期間内に誰でも特許が取り消されるべき理由を韓国特許庁に提供することができる。

2. 制度の内容

適用対象: 2017年3月1日以降に登録された特許(消滅した特許については申請不可)
申請時期: 特許権の設定登録日から登録公告後6か月まで
申請人: 利害関係の有無にかかわらず誰でも申請可能
申請事由: 刊行物に基づく新規性、進歩性又は拡大された先願主義違反、又は先願主義違反
先行技術関連特異事項: 刊行物に基づかない公知・公然発明に基づいては申請不可であり、審査過程において拒絶理由の中で引用された刊行物は他の刊行物と組み合わせる場合を除いて単独で使用することができない。
当事者: 特許取消申請後、申請人は手続に参与せず、特許権者と特許庁が当事者となって手続が進められる。
審理方式: 2以上の特許取消申請があるときは併合審理が原則であり、審判院が申請に理由があるかを検討し、理由がない場合は棄却決定し、理由がある場合は直ちに取消決定をするのではなく特許権者に取消理由を通知して対応の機会を付与する。取消理由の通知を受けた特許権者は意見提出及び訂正請求が可能である。審判院は特許権者の意見提出又は訂正請求により取消理由が解消されたと判断した場合は棄却決定をし、解消されなかったと判断した場合は取消決定をする。
不服: 棄却決定に対しては不服申立てをすることができず、取消決定に対してのみ不服申立てをすることができる。

要約 : 特許取消申請制度の主な内容
○(申請期間)登録公告後6か月まで「決定系」特許取消申請

○(申請理由)特許文献・刊行物に基づいた新規性・進歩性等

○(審理開始)取消申請理由を総合・整理した後、一括して審理進行

○(不服申立て手続)取消決定のみ不服申立て可、審判から法院まで審判院が遂行

3. 特許取消申請制度と特許無効審判制度との比較

従来の特許無効審判制度が、利害関係人間の紛争を解決するための制度であるならば、特許取消申請制度は、特許庁が公衆から助けを受けて不良特許を早期に除去するための制度であり、両制度には、根本的な違いがある。また、特許無効審判制度では、主に口述審理で進められ、当事者系手続(審判、法院、大法院まで両当事者が紛争遂行)である点で申請人に負担であったのが、特許取消申請制度では、書面審理で進められ、決定系手続(申請人の代わりに特許庁が手続遂行)である点で申請人の負担が軽減されている。

<特許取消申請制度と特許無効審判制度との比較>

特許取消申請制度
1. 制度の趣旨 : 特許権の早期安定化
2. 手続 : 決定系手続(特許庁と特許権者)
3. 請求人適格 : 誰でも
4. 申請・請求期間 : 設定登録日から登録公告後6か月まで(権利消滅後は不可)
5. 取下げ : 請求項別に可能/決定謄本が送達される前/*取消理由通知後は不可
6. 取消・無効理由 : 法第29条(新規性、進歩性、拡大された先願)/法第36条(先願)
7. 審理方式 : 書面審理
8. 複数事件の審理 : (原則)併合審理
9. 決定・審決 : 取消決定、棄却又は却下/*取消決定前に取消理由通知
10.不服の訴え提起 : ・取消決定、申請書却下に対しては特許庁長を被告として特許法院に不服申立て

特許無効審判制度
1. 制度の趣旨 : 当事者間の紛争解決
2. 手続 : 当事者系手続(審判請求人と特許権者)
3. 請求人適格 : 利害関係人又は審査官
4. 申請・請求期間 :設定登録後いつでも/(権利消滅後も可)
5. 取下げ : 請求項別に可能/審決が確定する前/*答弁書提出後は相手方の同意必要
6. 取消・無効理由 : 法第133条第1項(新規性、進歩性、記載不備、冒認出願、共同出願違反、権利享有違反、条約違反等)
7. 審理方式 :書面審理及び口述審理
8. 複数事件の審理 : (原則)併合審理
9. 決定・審決 : 無効、棄却又は却下
10.不服の訴え提起 : 請求人及び被請求人いずれも相手方を被告として特許法院に提訴可

4. 効用性

特許取消申請制度は、特許庁が公衆の協力を通じて瑕疵のある特許権が量産されることを減らすために導入された制度であるが、申請人の立場では、競争者の特許を少ない努力と低廉な費用で除去するための手段として利用することができる。更に、無効審判とは異なり、申請人の実体を明かさなくてよいという利点もある。

しかし、6か月という期限の制限があるため登録有無のモニタリングが必要であり、期限内に取消事由を迅速に発掘・整理して提出することが望ましい。また、申請事由に制限がある点にも留意が必要である。

今後、登録特許を無効化しようとする場合は、状況に応じて取消申請又は無効審判のうちどちらを利用すべきかを判断する必要がある。
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