種類の異なる権利対権利の積極的権利範囲確認審判と確認の利益存否
(特許法院2024年4月18日宣告2023ホ13100判決、権利範囲確認審判)
1. 事件の概要
本件は、権利対権利の積極的権利範囲確認審判事件であり、特に、先登録権利と後登録権利が互いに異なる種類の権利である場合、後登録権利に対して積極的権利範囲確認審判を請求する確認の利益が認められるか否かが争点となった。
2. 事実関係
権利者である被告(審判請求人)は、実用新案権者として本件登録考案の保護範囲を確認するために、原告(被審判請求人)の実施考案を確認対象考案として特定し、実用新案権の権利範囲確認審判を請求し、特許審判院はこれを認容した。
これに対し原告は、審決取消訴訟を提起し、上記の権利範囲確認審判は、本件登録考案の登録後に登録された異なる種類の権利である後登録デザイン1、2に基づいて、権利対権利の積極的権利範囲確認審判に該当し、不適法である旨を主張した。
3. 関連法理 - 権利対権利間の権利範囲確認審判の確認の利益存否
実用新案法第33条、特許法第135条第1項によれば、実用新案権者又は専用実施権者は、自己の登録実用新案の保護範囲を確認するために、実用新案権の権利範囲確認審判を請求することができ、実用新案権の権利範囲確認は、登録された実用新案権を中心に、ある確認対象考案が積極的に登録実用新案の権利範囲に属すること、又は消極的にこれに属さないことを確認するものである。
後出願によって登録された考案を確認対象考案とし、先出願による登録考案の権利範囲に属するという確認を求める積極的権利範囲確認審判は、後登録された権利に対する無効審判の確定前に、その権利の効力を否定する結果となるため、原則として許容されず、ただし、両考案が実用新案法第25条に規定する利用関係にあり、確認対象考案の登録の効力を否定することなく権利範囲の確認を求めることができる場合には、権利対権利間の積極的権利範囲確認審判の請求が許容される。
一方、後登録された実用新案権が、先登録された実用新案権の権利範囲に属さないことを請求する消極的権利範囲確認審判の請求は、被審判請求人の先登録実用新案権の効力を否認する結果にはならず、これを請求する利益もあるから、これを不適法であるとはいえない。
4. 法院の判断
先登録権利者が後登録権利者を相手に提起する積極的権利範囲確認審判を許容しない主な根拠は、後登録された権利に対する無効審判の確定前に、その権利の効力を否定する結果が発生するという点にあり、権利範囲確認審判の判断結果によって、直ちに確認対象考案の該当登録権利としての登録の効力を否認する結果にならない場合には、積極的権利範囲確認審判の請求に確認の利益がないとはいえない。
これにより、同一の種類の登録権利間には、利用関係等に該当しない限り、原則として積極的権利範囲確認審判が許容されないが、保護対象と登録要件に差異がある異なる種類の登録権利間には、権利範囲確認審判の判断結果によって、直ちに確認対象考案の該当登録権利としての登録の効力を否認する結果にならない場合にまで、一律に権利対権利の積極的権利範囲確認審判に該当するという理由で確認の利益が否定されるとはみることができない。
権利者である被告は、実用新案権者として本件登録考案の保護範囲を確認するために、原告の実施考案を確認対象考案として特定し、実用新案権の権利範囲確認審判を請求したのであり、これに対し原告は、本件登録考案の登録後に登録された異なる種類の権利である後登録デザイン1、2に基づいて、権利対権利の積極的権利範囲確認審判に該当し、不適法である旨を主張している。
考察するに、実用新案法の対象である「考案」は「自然法則を利用した技術的思想の創作」(実用新案法第2条第1号参照)を保護対象としている反面、デザイン保護法の対象である「デザイン」は「物品[物品の部分、書体及び画像を含む]の形状・模様・色彩又はこれらを結合したものであって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」を保護対象としている(デザイン保護法第2条第1号参照)。したがって、実用新案法は技術的思想の創作をその保護対象としており、デザイン保護法は視覚を通じて美感を起こさせる物品の外観をその保護対象としているため、保護対象が互いに同一であるとはみることができない。
ゆえに、本件権利範囲確認審判に基づき、本件登録考案の技術的な構成要素と確認対象考案の技術的な構成要素の有機的な結合関係を対比・判断した結果、確認対象考案が本件登録考案の権利範囲に属すると判断されたとしても、その保護対象と登録要件が異なる後登録デザイン1、2のデザイン権としての登録の効力が直ちに否認される結果にはならないから、本件審判請求に確認の利益がないとはいえない。
5. 判決の意義
1) 本判決は、権利対権利間の積極的権利範囲確認審判の許否(詳細には確認の利益存否)に関する法理を再確認しつつ、先登録権利と後登録権利の保護対象と登録要件が互いに異なる場合の確認の利益存否に関する法理を提示した。
2) 実務的に、侵害者が先登録権利者の技術を無断で実施しながら、権利行使を防御するために保護対象の異なる権利(例:デザイン権)を出願して後登録を受ける防衛策を使う場合があり、本判決を通じて、先登録権利者(特許権者や実用新案権者)は、相手方の後登録デザインを無効化する複雑な手続きを経ずとも、直ちに積極的権利範囲確認審判を請求して侵害の事実(権利範囲に属する)を迅速に確認してもらえる法的根拠を得たという点において意義がある。
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