公知例外の効果が及ぶ公知となった発明の範囲に関する判決
(大法院2025年5月29日宣告2023フ10712)
特許法第30条第1項第1号は、特許を受けることができる権利を有する者によりその発明が特許出願前に国内又は国外において公知となり、又は公然実施される等、特許法第29条第1項各号のいずれかに該当するように至った場合(以下「自己公知」という)、その日から12か月以内に特許出願をすれば、その特許出願された発明に対して特許法第29条第1項又は第2項(新規性又は進歩性の要件)を適用する際、その発明は特許法第29条第1項各号の公知となった発明に該当しないものとみなすと規定している。
本件は、体外診断検体フィルタ用ケースに係る実用新案登録考案について、実用新案権者が、出願前に公開された(インフルエンザウィルス用診断キット製品に使用された)体外診断検体フィルタケースについて公知例外の主張をしたが、後続製品(他のウィルス用診断キット製品)に使用された同一の体外診断検体フィルタケースについては公知例外の主張をしなかった状況において、公知例外規定の効果が及ぶ範囲が主な争点として問題となった。
大法院は、本判決において以下の通り説示した。
1)公知例外規定の文言と趣旨に照らせば、特許を受けることができる権利を有する者が特許法第30条第1項で定めた12か月の期間内に複数回の公開行為をし、そのうち最も先に公知となった発明についてのみ手続にしたがって公知例外の主張をしたとしても、公知となった残りの発明が、最も先に公知となった発明との同一性が認められる範囲にあるならば、公知となった残りの発明にまで公知例外の効果が及ぶと解すべきである。
2)一方、特許法第30条第1項第1号の公知例外規定は、特許出願された発明について新規性要件である特許法第29条第1項だけでなく、進歩性要件である特許法第29条第2項を適用する際も、自己公知となった発明が公知等にならなかったものとみなすと定めている。そして、その規定の文言上、公知例外の効果が及ぶ「自己公知となった発明」と、出願の対象である「特許出願された発明」とを明らかに区別している。これは、特許出願された発明が、自己公知となった発明の公知以降、追加的な研究開発や改良等を通じて、自己公知となった発明と構成や効果に差異が生じ得ることを考慮したものである。
したがって、公知例外規定が適用されるために、必ずしも自己公知となった発明が特許出願された発明と同一でなければならないとか、自己公知となった発明そのものが特許出願されなければならないと解することはできない。
今回の判決は、公知例外の効果が及ぶ範囲について具体的に判断した点に意義がある。今回の判決により、複数回の公開があった場合、最初に公開された技術との同一性が認められるならば、二回目以降の公開に対しても公知例外の効果が適用され、必ずしも自己公知となった発明が特許出願された発明と同一である場合に限り公知例外の効果が発生するわけでもない点が明確になった。
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