組成物特許発明の各構成要素を国内で生産した後外国で組成物を完成させた場合特許権の侵害を否定した事例(大法院2025年5月15日宣告2025ダ202970判決)
特許権の属地主義の原則上、物の発明に関する特許権者が物について有する独占的な生産・使用・譲渡・貸与又は輸入等の特許実施に関する権利は、特許権が登録された国の領域内でのみ効力が及び、構成要素完備の原則上、特許権侵害訴訟の相手方の製造する物が特許権を侵害する物に該当するためには、特許発明の請求の範囲に記載された各構成要素とその構成要素間の有機的結合関係がその物にそのまま含まれていなければならない。
しかし、国内で特許発明の実施のための部品又は構成の全部が生産されるか、大部分の生産段階を終えて主要構成をすべて備えた半製品が生産され、これが一の主体に輸出されて最終段階の加工・組立がなされることが予定されており、そのような加工・組立が極めて些細な若しくは簡単なものであるゆえ、上記のような部品全体の生産又は半製品の生産だけでも特許発明の各構成要素が有機的に結合した一体として有する作用効果を具現できる状態に至った場合は、特許権の実質的保護のために国内で特許発明の実施製品が生産されたものとみなすことができる(大法院2019年10月17日 宣告2019ダ222782、222799判決等参照)。
本事例では、肺炎球菌ワクチンに用いるための13価免疫原性組成物に係る特許発明に関連して、国内で13種の個別の接合体原液を生産した後、外国で完成品である組成物を生産した場合も、13種の個別の接合体原液を生産した行為が特許発明の実施製品の生産とみることができるかが問題となった。これについて具体的に考察したい。
1. 事案の概要
対象となる特許発明は、「生理学的に許容されるビヒクルとともに、13種の異なる多糖類・タンパク質接合体を含み、このとき、それぞれの接合体がCRM197運搬体タンパク質に接合された異なる血清型のストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumonia)由来の莢膜多糖類(capsular polysaccharide)を含み、該莢膜多糖類が血清型1, 3, 4, 5, 6A, 6B, 7F, 9V, 14, 18C, 19A, 19F及び23Fから製造される、肺炎球菌ワクチンに用いるための13価免疫原性組成物」である。
上記特許発明に関連して、国内で13種の個別の接合体原液が生産された後、一の主体に輸出されて最終混合工程を経て最終組成物原液が生産されたが、特許権者である原告は、国内で13種の個別の接合体原液を生産して外国に輸出した被告に対し、特許権侵害禁止等の訴えを提起した。
2. 具体的事案の争点及び判断
大法院は、外国で実施される13種の各個別の接合体原液を混合する工程過程について、13種の個別の接合体原液の投入量、混合比率及び混合順序、混合時のpH、温度、撹拌速度、撹拌時間等の混合条件は、肺炎球菌ワクチンに用いるための13価免疫原性組成物を具現するうえで少なからぬ影響を及ぼし得るから、13種の各個別の接合体原液を混合して13価免疫原性組成物を製造する最終段階の工程が極めて些細な若しくは簡単なものであるとはみることができず、上記混合工程において13種の個別の接合体原液の投入量、混合比率、混合順序、混合条件が十分に備わっていなければ13価免疫原性が具現されない可能性があるから、13種の個別の接合体原液の生産だけでも本件第1項発明の作用効果である13価免疫原性を具現できる状態に至ったとはいえないと判断した。
これにより、大法院は、被告が13種の個別の接合体原液を生産した行為は本件特許権の侵害には該当しないと判断した。
3. コメント
この大法院の事例は、特許法上の属地主義及び構成要素完備の原則に対する厳格な適用基準を再確認し、海外での最終組立製品について特許発明の作用効果の具現という特許侵害の認定範囲を明確にしたという点で、重要な先例となると見込まれる。特に、既存の組立と分解が単純な機械装置発明などに適用されていた半製品の生産であっても、例外的に特許発明の実施行為とみることができるという法理は、単純にみえるかもしれない化学薬品発明の組成物の混合工程に一律に適用され得ないことを確認することができる。
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