AI関連発明に関するKIPO審査指針書の紹介
韓国特許庁(KIPO)は近年の急激なAI関連特許出願の増加に対応し、AI関連発明に対する特許審査基準を明確化する目的で、2020年にAI関連発明に関する特許審査指針書を初めて制定し、2021年と2023年の改訂作業を通じて、学習モデル及びその記載要件を定義し、そのようなモデルに関する例示請求項を追加してきた。
以下において、現在施行中のAI関連発明に関するKIPO審査指針書の主要内容を簡単に紹介したい。
1.AI関連発明の定義
AI関連発明に関するKIPO審査指針書によれば、該指針書が適用される「AI関連発明」は、発明を実施するために機械学習基盤のAI技術を必要とする発明と定義されている。
2.明細書の記載要件
AI発明の場合にも、一般的な明細書の記載要件を当然満たす必要があり、該指針書ではAI発明の特殊性を勘案して、次のような具体的な記載要件を説明している。
- AI発明の具現のための具体的手段(学習データ/前処理/学習モデル等)の提示及び具体的手段を明細書に記載すること
- 入力データと学習モデルの出力データ間の相関関係を記載すること
- データ前処理技術が特徴である発明の場合、原始データと学習データ間の相関関係を具体的に記載すること
- 強化学習基盤AI技術の場合、エージェント、環境、状態、行動、報償を必須構成として記載すること
- AI応用発明の場合は、通常の知られた学習モデル名を記載することが可能である
3.発明の成立性
発明の成立性については、従来のコンピュータ・ソフトウエア発明における発明成立性の判断基準を適用すると規定している。
したがって、AI発明の場合にも、ソフトウエアによる情報処理がハードウエアを用いて具体的に実現されることが明確に示されていれば、発明成立性の要件を満足することになる。
4.発明の新規性及び進歩性の判断
AI発明の場合にも、一般的な発明の新規性及び進歩性の判断技法はそのまま適用されるが、該指針書ではAI発明の特殊性を勘案して、次のようないくつかの具体的判断技法を提示している。
① AI技術を具体的に記載していない場合、公知のAI技術の単なる利用に該当するとみて、新規性又は進歩性が認められない。
② データ前処理、学習モデル、学習データ等の具体的な手段を具体的に記載し、それによる「より良い効果」が認められれば進歩
性が認められる。
③ 営業方法発明を公知のAI技術で単にシステム化した場合は、進歩性が認められない。
④ AI発明の結果データ活用を具体化し、より良い効果が生じる場合、進歩性が認められる。
⑤ 当該AI発明と先行技術が互いに適用される産業分野が異なる場合、技術的困難性を克服した側面や産業分野が異なることによる
効果が進歩性判断に参酌されうる。
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