7月22日から施行される韓国特許法の改正内容の紹介
2024年12月27日に国会本会議を通過した各種知識財産関連の法律の中で注目すべき特許法改正の内容を以下に紹介する。今回の法律改正案は2025年1月21日に公布され、公布後6か月が経過した2025年7月22日から施行される予定である。
1.許可等に基づく特許権の存続期間の延長制度の改正
(1)延長された特許権の存続期間の上限の設定
特許権の存続期間の延長制度は、医薬品について一定の要件の下で特許権の存続期間を延長する制度である。医薬品特許は、食品医薬品安全処の許可に長い時間を要するため、既に特許が付与されていてもその間実際に発明を実施できないことから、食品医薬品安全処の許可に要する一定期間を特許期間として延長するというものである。特許法および同法施行令、関連規則に基づき延長可能な期間は5年までである。
現行特許法は他国と異なり、医薬品特許権の存続期間の延長に上限がなく、1つの許可について延長可能な特許権数の制限もなかったため、一部の医薬品の場合、主要国よりも特許権の存続期間が相対的に長く延長され、ジェネリック(コピー薬)の発売が遅れるとの指摘があった。こうした指摘を受け、今回の改正法では、医薬品の特許権の存続期間の延長は医薬品の品目許可日から14年を超えないとのCAP(上限)を設けた(第89条第1項但し書き新設)。
これにより、医薬品特許権者は医薬品の品目許可日から14年となる日と、各延長対象特許の延長前の存続期間満了日のいずれも考慮し、戦略的に延長出願をする必要がある。
(2)1つの許可において延長可能な特許権数の制限
現行特許法の下では、医薬品特許権者は許可された1つの医薬品について2つ以上の特許権があり、当該特許権の登録日が許可日よりも早い場合は、当該特許権について延長登録出願をして延長登録を受けることができた。このため、一部の医薬品の場合、主要国よりも特許権の存続期間が相対的に長く延長され、ジェネリックの発売が遅れるとの指摘があった。
しかし、今回の改正法では、1つの医薬品に係る特許権が2つ以上あっても、特許権者はそのうちの1つの特許権についてのみ存続期間の延長登録出願をしなければならない。すなわち、1つの許可等において延長可能な特許権数を1つに制限した(特許法第90条第7項新設など)。
これにより、医薬品特許権者は延長登録出願をする前に、許可された医薬品に係る特許権のうち、重要度や延長可能期間などを慎重に考慮して、延長対象の特許権を決定する必要がある。
2.特許「実施」態様に「輸出」行為を追加
現行特許法では、商標法及びデザイン保護法等と異なり、「輸入」は実施類型に包含しているが、「輸出」は包含していなかった。このため、現行特許法の解釈上、「実施」行為に「輸出」行為が包含されるのか、又は「輸出」行為に必ず「譲渡」が随伴するのか、さらに侵害者の輸出行為が明らかになった場合、この輸出行為が譲渡など他の実施行為に随伴若しくは包摂されるという点を権利者が主張及び立証責任を負わなければならない問題があった。尚且つ、特許法院の昨年の判決では、輸出行為は物の譲渡行為に該当せず、輸出過程において製品の国内譲渡(所有権の移転)が必然的に行われるとはみがたいと判断している(特許法院2024年1月18日宣告2021ナ1787判決)。
しかし、今回の改正法では、第2条第3号の「実施」行為の態様に「輸出」行為を追加している。これにより、生産・譲渡などの実施行為なしに輸出行為をする場合、侵害禁止及び損害賠償請求など特許法による救済手段を行使できる根拠が新たに設けられ、権利者は侵害及び損害賠償訴訟において保護を受けられるようになった。
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