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請求人適格のない者が無権利者の出願を無効事由とした特許無効審判を請求した場合に無効事由について判断する必要があるかどうか(大法院2025年1月9日宣告2022フ10814判決)

1.事案
原審で、特許発明の最初の発明者である原告は、原告から口頭契約によって特許を受ける権利を承継し登録された疎外人(被告の従業員)の特許発明は原告と訴外人間の口頭契約が適法・有効ではないので無権利者による出願に該当し、その訴外人から移転を受けた被告の特許権は無効であると主張した。
これに対し、原審法院は、原告から訴外人に特許を受けることができる権利が適法に承継されたとみるのが妥当であるから、訴外人の出願は無権利者の出願ではなく、原告は特許法第133条第1項に定める利害関係人には該当しないとの理由で、原告の審決取消請求を棄却した。

2.関連法理
発明をした者又はその承継人は、特許法に定めるところにより特許を受けることができる権利を有する(特許法第33条第1項本文)。かかる正当な権利者ではない者がした特許出願について特許権の設定登録がなされれば特許無効事由に該当する(特許法第133条第1項第2号本文)。
特許法第133条第1項全文は「利害関係人(第2号本文の場合には、特許を受けることができる権利を有する者のみ該当する)又は審査官は、特許が次の各号のいずれかに該当する場合には、無効審判を請求することができる。」と規定しているから、特許を受けることができる権利を有する正当な権利者又は審査官のみが、無権利者の出願を無効事由とした特許無効審判の請求人適格がある。請求人適格のない者が提起した特許の無効審判請求は不適法であり、無効事由について判断する必要はなく、その審判請求を却下すべきである(大法院1997年6月27日宣告97フ235判決など参照)。

3.大法院の判断
(1)無権利者の出願を無効事由とした特許無効審判の請求人適格についての判断
無権利者の出願を無効事由とした特許無効審判は、特許を受けることができる権利を有する正当な権利者又は審査官のみが請求人適格を有するが、発明者である原告の特許を受けることができる権利は、発明の完成と同時に原始的に原告に帰属した後、被告の従業員である訴外人に適法に承継されたから、原告は、特許を受けることができる権利を有する正当な権利者ではない。
(2)無効事由について判断する必要があるかどうか
請求人適格のない原告が提起した本件審判請求は不適法であるから、本件特許発明について訴外人が無権利者として特許出願をして特許権の設定登録がなされたかどうかについて判断する必要はなく、本件審判請求は却下されるべきである。

4.結論
発明と同時に特許を受けることができる権利を原始的に有する発明者であっても、これを適法に承継した以降は、正当な権利者に該当しないので、最初の発明者は、無権利者の出願を無効事由とした特許無効審判の請求人適格がなく、この場合、無効事由について判断することなく審判請求を却下すべきであることを明確に確認した点に意義がある。

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