侵害行為の具体的行為態様の提示の有無及び医薬用途発明に係る特許権の侵害の有無についての判断(2023ナ11009判決、特許法院2024年9月5日宣告)
特許法院は、特許権侵害禁止訴訟において特許権者等が侵害行為の態様を具体的に特定したとみることができない場合、特許法第126条の2第4項に定める「正当な理由なしに自己の具体的行為態様を提示しない場合」に該当しないと判断し、医薬用途発明に係る特許権の侵害の有無を判断する基準を提示した判決を下した。具体的な内容は以下の通り。
(1)原告(特許権者)らは単に被告製品の成分を分析した試験成績書等を基に、被告製品が原告の第一特許発明の成分を第一特許発明の重量比で含有していると主張し、よって第一審法院は被告に対して、「被告の具体的行為態様を提示すること」を命じた。しかし、被告は弁論期日に「被告製品に第一特許発明の成分が含まれているとの事実については争いがない」と陳述する以外は、自己の具体的行為態様を提示しておらず、具体的行為態様を提示しないことに正当な理由があるとみる事情もない。したがって、特許法第126条の2第4項に基づき、被告製品は原告らの主張するとおり原告の第一特許発明の成分を第一特許発明の重量比で含有していると認めることができる。
(2)反面、原告らは侵害製品を追加し「追加された侵害製品の主要成分と用途が既存の侵害製品と同一である」と主張しただけで、追加された侵害製品の構成については具体的に提示しなかった。特許法第126条の2は、特許権者等が侵害行為の具体的態様を主張した場合、それを否認する相手方に単純否認ではなく積極否認ないし理由付否認をするようにさせることによって、特許権者の証明負担を軽減するための規定であるから、上記規定に基づく相手方の具体的行為態様提示義務は、一般民事訴訟における証明責任の分配の原則との均衡上特許権者等が相当な努力を払って侵害行為の態様を具体的に特定した場合に認められるとみるのが妥当である。そうすると、追加された侵害製品については、原告らが侵害行為の態様を具体的に主張したとは言えないから、上記規定が適用されず、追加された侵害製品に第一特許発明の成分が第一特許発明の重量比で含有されているとみるのに原告らが提出した証拠だけでは不足している。
(3)被告製品が第一特許発明の医薬用途の用途を有するかどうかは、被告が被告製品の生産・販売過程で掲げた用途、被告製品に含まれる成分が上記のような用途を果たしうるか等を総合的に考慮して判断すべきである。被告が製品の生産・販売過程で被告製品が第一特許発明の医薬用途に使用できることを直接又は間接に示し、消費者も上記各製品の用途をそのように認識していた点、実際に被告製品によって第一特許発明の医薬用途を果たしうる点等、諸事情を総合してみると、被告製品は第一特許発明の医薬用途を有するとみるのが妥当であるから、本件第一特許発明の特許権の侵害を構成する。反面、被告製品は第二特許発明の医薬用途を有するとはみることができないから、本件第二特許発明の特許権の侵害は認められない。
本判決は、特許権侵害禁止訴訟において(ⅰ)特許法第126条の2において特許権者及び被告が具体的な行為態様を提示しなかった場合特許法第126条の2第4項の適用の可否、及び(ⅱ)医薬用途発明に係る特許権の侵害の有無を判断する基準を提示した点にその意義がある。
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