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後願の出願人が後願出願当時、先願に関する出願人変更申告を済ませていなかったとしても、特許を受ける権利を承継した場合、優先権主張をすることができるかどうか(2016ドゥ58543)

特許を受ける権利とは、発明の完成により発生し、発明者に原始的に帰属し、特許出願されて拒絶決定が確定するか又は登録時まで認められる権利である。特許を受ける権利は他人に移転することができる財産権であるため、韓国特許法(第38条)は、特許を受ける権利の承継の効力発生要件に関する規定を設けている。特に、韓国特許法第38条第4項は、特許出願後は、特許を受ける権利の承継は、相続、その他の一般承継を除き、出願人変更申告をしてはじめて、その効力が発生すると規定している。

本件事実関係
韓国の先願権利者であるBは、Aに特許を受ける権利を移転する契約を締結したが、Aは、出願人変更申告をしなかった。Aは、同一の発明についてPCT後願出願をしながら韓国の先願を基礎とする優先権主張もともに行った。

ここで、韓国特許法第38条第4項に基づき優先権主張時に先願の出願人と後願の出願人が同一でないため、優先権主張の効力がなくなるかどうかが問題となった。

韓国特許庁と原審の判断
韓国特許庁は、優先権主張をするためには、先願に関する特許を受ける権利を承継する必要があるが、Aは、出願人変更申告をしていないので、特許を受ける権利を承継していないとみなし、優先権主張を無効とする処分をした。また、上記優先権主張無効処分の取消しを求める行政訴訟でも、原審である韓国ソウル高等法院は、上述の事由で優先権主張を無効とした韓国特許庁の処分が適法であると判断した。

韓国大法院の判断
韓国大法院では、後願の出願人が後願の出願時に特許を受ける権利を承継していたのであれば優先権主張をすることができ、後願の出願時に先願に関する出願人変更申告を済ませなければならないということではないとみなし、韓国特許法第38条第4項は、特許に関する手続において参加者と特許の登録を受ける者を容易に確定することにより、出願審査の便宜性及び迅速性を追求しようとする規定であり、優先権主張に関する手続に適用されるとみることができないとした。すなわち、韓国大法院では、後願の出願人が先願の出願人と異なるとしても、特許を受ける権利を承継していたのであれば優先権主張をすることができるとみなした。

韓国大法院判断の意義
本判決は、出願人変更申告なしでも、特許を受ける権利の移転契約が有効に成立するならば、優先権主張の効力が認められるという点を確認したところに意義がある。
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