第4次産業革命関連発明の優先審査対象追加
Ⅰ. 概要
韓国特許庁では2018年4月、第4次産業革命に関連する技術分野として注目を集めてきた7分野に属する発明について優先審査の申請を可能にした。上記7分野は具体的に、人工知能(Z01A)、モノのインターネット(Z01I)、3Dプリンティング(Z05P)、自律走行車(Z03V)、ビッグデータ(Z01B)、クラウドコンピューティング(Z01C)、知能型ロボット(Z03R)分野である。
そして2019年6月には、既存の7大技術分野に限られていた第4次産業革命関連新特許分類体系を16大技術分野に拡大し、拡大された技術分野についても優先審査の申請が可能である。今回追加された9技術分野は、スマートシティ(Z03C)、仮想・拡張現実(Z03A)、革新新薬(Z03M)、新・再生可能エネルギー(Z05E)、カスタマイズヘルスケア(Z03H)、ドローン(Z03D)、次世代通信( Z01T)、知能型半導体(Z05S)、先端素材(Z05M)である。
すなわち、既存の優先審査の対象であった7大技術分野は主に情報通信技術(ICT)分野に限られていたが、今回追加された9技術分野には革新新薬、新・再生可能エネルギー、先端素材が含まれており、製薬、エネルギー、化学等の様々な先端産業分野においても優先審査の恵沢を受けられるようになった。
Ⅱ. 要件
上記16分野の発明について優先審査を申請しようとする場合、出願人は、(ⅰ)優先審査申請説明書に、当該出願が上記16分野の1以上に該当する旨を記載すればよく、これを証明する書類の提出は不要である。審査官は、対象出願が16分野に該当するかどうかを判断し、優先審査の当否を決定する。
また、出願人は、(ⅱ)先行技術調査結果を特許庁に提出する必要があるが、このとき特許庁で指定した専門機関に先行技術調査を依頼する必要はなく、自体的に先行技術調査を行い、検索方法、検索結果(類似する先行技術文献の記載)、最も隣接する先行技術文献と請求項発明との対比説明を記載すればよい。
もし、出願人が出願明細書の作成時に既に先行技術調査を行っているのであれば、その結果を優先審査の申請時に利用することができるので、専門機関に先行技術調査を改めて依頼する必要がなく、これにより、費用及び時間を節減することができる。
本制度は、2018年4月または2019年6月以降に申請される優先審査から適用される。
Ⅲ. 効果
優先審査を申請した場合、審査請求から特許登録まで平均5.5か月と、一般の審査請求の場合より10か月以上早く権利を確保することができる。また、外国特許庁あるいは政府間機構から入手した先行技術調査結果報告書の写し、又は対応日本出願の審査通知書において特許可能と判断された請求項、又はPCT国際調査及び予備審査において特許要件が認められた請求項がない場合や、これらの活用を望まない場合、第4次産業革命関連技術に該当する旨を主張し優先審査を申請することができる。したがって、本制度は、第4次産業革命技術分野において迅速な権利化を目指す上で有用な制度といえる。 |
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