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補正却下の事由から除外される「請求項を削除する補正により発⽣した新たな拒絶理由」

1. 補正制度

明細書⼜は図⾯の内容に不明確な点や不備な点がある場合にその⽋陥を治癒するために出願⼈が⾏う補充訂正をいうが、補正時期に応じて補正範囲と違反時の取扱いを異にしている。
(1)補正時期
⾃発補正期間は、韓国特許庁⻑が特許決定謄本を送達する前までの期間である。意⾒提出通知を受けた後は、意⾒提出通知への応答期間以内に、そして再審査請求時に補正書を提出することができる。
(2)補正範囲
1)⾃発補正及び最初の意⾒提出通知に応答する補正「明細書⼜は図⾯の補正は、特許願書に最初に添付した明細書⼜は図⾯に記載された事項の範囲内においてすることができる」と規定されており、新規事項追加の禁⽌が規定されている。
2)最後の意⾒提出通知への応答時に⾏う補正⼜は再審査請求時に⾏う補正最後の意⾒提出通知への応答時に⾏う補正⼜は再審査請求時に⾏う補正は、新規事項追加の禁⽌の規定のほかに、i)請求の範囲の減縮、ii)誤記の訂正、iii)明りょうでない事項の釈明、のいずれかの場合、iv)新規事項の追加違反による補正について、その補正前の請求の範囲に戻す⼜は戻しつつ請求の範囲をi)乃⾄iii)に基づき補正する場合に認められる。
(3)補正却下の要件及び除外事由(韓国特許法第51 条第1 項)審査官は、最後の意⾒提出通知への応答時に⾏う補正⼜は再審査請求時に⾏う補正が上記(2)2)の補正の範囲に違反し、若しくはその補正により新たな拒絶理由が発⽣したと認めれば、決定をもってその補正を却下しなければならない。但し、上記(2)2) i)及びiv)の補正のうち、請求項を削除する補正は除外する。

2.「請求項を削除する補正により新たな拒絶理由が発⽣した場合」を補正却下の事由から除外する趣旨

「請求項を削除する補正により新たな拒絶理由が発⽣した場合」を補正却下の事由から除外する趣旨は、補正により新たな拒絶理由が発⽣した場合は、その補正を却下することによっ
て、新たな拒絶理由の意⾒提出通知への応答時に⾏われる補正とは別の補正が繰り返されることを排除して、審査⼿続の迅速化を図り、「請求項を削除する補正」の場合は、請求項を
限定・付加する補正など他の場合と違って、それにより新たな拒絶理由が発⽣しても、上記のような補正の繰り返しにより審査官が新たに審査を⾏わなければならない業務量の加重や
審査⼿続の遅延の問題が⽣じないから、それに対して拒絶理由を通知して、補正の機会を再度付与することによって、出願⼈を保護するためである(⼤法院2014 年7 ⽉10 ⽇宣告2013 2101 判決)。問題は、韓国特許法第51 条第1 項本⽂が規定する「請求項を削除する補正により発⽣した新たな拒絶理由」にいかなる事項が含まれるかが議論の的となった。特に、「請求項の削除の補正時における択⼀的関係記載の⽋落」が補正却下の除外事由にあたるかどうか不明確であった。

3. 2014 フ533 判決

(1)事実関係を考察すると、補正範囲が制限される時期に請求項1、5、9 を訂正し、請求項 4、8 を削除した。
(2)問題となった請求項
*補正前の請求項9:「請求項1、2、3、4 ⼜は8 に記載の含リン銅アノード...」
*補正後の請求項9:「請求項1、2、3、4 ⼜は8 に記載の含リン銅アノード...」
補正後の請求項9 において、「請求項4 ⼜は8」とともに、「⼜は」という択⼀的関係記
載も削除して、補正後の請求項9 は、「請求項1、2、3 に記載の」と補正され、択⼀的関
係記載がない記載不備が発⽣した。
そこで、判例は、韓国特許法第51 条第1 項本⽂が規定する「請求項を削除する補正により発⽣した新たな拒絶理由」には、「請求項を削除する補正を⾏うとともに、その削除された請求項を引⽤していた従属項において引⽤番号をそのままにすることによって、明細書の記載要件を満たしていない記載不備が発⽣した場合」だけでなく、「請求項を削除する補正を⾏うとともに、その削除された請求項を直・間接的に引⽤していた従属項を補正する過程において、(i)その引⽤番号を誤って変更したり、(ii)従属項が⼆以上の項を引⽤する場合、引⽤される項の番号間の択⼀的関係についての記載が⽋落したりすることによって、上記のような記載不備の事由が発⽣した場合」も含まれる、と判⽰した。
また、改正審査基準(2018 年8 ⽉1 ⽇施⾏)によれば、「請求項を削除するとともに、⼆以上引⽤される項の番号間の択⼀的関係についての記載が⽋落して記載不備が発⽣した場合」を、「請求項の削除の補正により新たな拒絶理由が発⽣した場合」と「職権補正事項」に追加した(2014 フ533 判決に反映)。

4. 弊所における業務処理⽅法

弊所では、最後の意⾒提出通知への応答時に⾏う補正⼜は再審査請求時に⾏う補正では、最初の意⾒提出通知への応答時よりも慎重を期して弊所の補正案を提⽰し、お客様のご指⽰に沿った補正案を綿密に検討することによって、補正却下が発⽣しないよう細⼼の注意を払っている。

5. むすび

これまでは、最後の意⾒提出通知への応答時⼜は再審査請求時の補正の際に請求項を削除して補正却下を受けて出願⼈の利益を害する場合に対する明確な指針はなかったが、改正審査基準によって、請求項の削除時の択⼀的関係記載の削除による補正却下は受けないようになり、出願⼈の利益の保護がさらに強化された。
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