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2016 年韓国商標法全部改正(2016 年9 月1 日施行)

1. 改正背景

1949 年の韓国商標法の制定以来、単発性の制度改善需要に伴う頻繁な部分改正により法律の複雑
性が加重し、論理的一貫性の欠如が指摘されてきた。特に、1990 年の全部改正以来、計23 回の部
分改正が行われ、過度な枝番条項等、商標法に対する理解が難しい面があった。

更に、先願主義を採用する韓国商標法下において相対的に脆弱な使用主義的制度を補完する必要性
があった。

韓国商標法上不合理な慣行を除去し公正且つ合理的な商標制度を構築するために、2016 年9 月1
日から全部改正韓国商標法が施行される。

2. 主な改正内容

(1) 商標定義規定の整備

[旧法] 商標の定義が簡潔でなく、商標として機能する全てのものが商標として登録され得るにも拘わらず
これを限定的・列挙的に定義したかのような誤解の余地があり、商標とサービスマークを区別していた
ため、 法体系が複雑。

[新法] 標章の類型を限定的・列挙的に羅列するのではなくその機能として定義し例示的に列挙して商
標権の保護範囲が拡大され得るようにし、「サービスマーク」の定義を「商標」と統合。

旧法上誤解の余地があった定義規定を改善してトレードドレスを商標として保護する可能性を示唆したも
のと判断される。具体的な審査ガイドラインはまだ定まっていないが、今後確立される必要がある。また、
商標とサービスマークの名称区別をなくし用語をより簡潔に整理した。

(2) 不使用取消審判制度の整備

[旧法] 不使用取消審判の請求は利害関係人のみ可能であり、不使用取消審決が確定した場合将来
に向けて商標権が消滅。

[新法] 不使用取消審判の請求人適格を「何人も」に拡大し、不使用取消審決が確定した場合「その
審判請求日まで遡及して商標権が消滅する」と規定。

旧法では、不使用取消審判の請求時において利害関係の有無についての争いにより審理遅滞が生じ、
権利として保護すべき実体がないにも拘わらず法律上の登録という形式的な行為について民刑事上の権
利を認める部分があった。新法では、不使用取消審判の請求人は利害関係の有無を立証する必要がな
くなり手続きが簡素化された。また、不使用取消審決の効力が審判請求日まで遡及することにより、
不使用取消審判を請求し先登録商標の引用を克服するために再出願する必要がなくなる。

本規定は2016 年9 月1 日以降に請求される審判事件から適用される。

(3) 登録要件の判断時点

[旧法] 商標不登録事由を公益的拒絶理由と私益的拒絶理由とに分け、私益的規定とみなす登録要
件の判断時点を「商標出願時」と規定。

[新法] 商標不登録事由の判断時点を公益・私益の区別なしに「登録可否決定時」に変更。但し、不
正目的の出願の場合は「商標出願時」を基準に判断。

旧法では、瑕疵のある先願又は先登録や既に消滅した事由等により商標登録を受けることができないと
いう不合理な結果となって、出願人は関連事由が消滅したとしても再度出願しなければならず、時間と費
用の不経済をもたらす面があった。新法では、この面を補完し、登録可否決定前に瑕疵が治癒された場
合商標出願は登録を受けることができる。

本規定は2016 年9 月1 日以降に出願される商標等に適用される。

(4) 商標権消滅後1 年間他人の商標出願・登録禁止規定の削除

[旧法] 先出願して登録された商標が実効した後1 年間は他人の登録排除効が存在。

[新法] 同規定を削除。

登録商標間の権利移転が許容され、二以上の他人に使用権を自由に設定できることから、同条項では
出所の混同可能性を防止することができない。また、失効した商標を保護する必要性が実質的に少ない
ことに比べ、本規定により審査が遅延する結果をもたらすため、本規定を削除。

本規定は2016 年9 月1 日以降に登録可否決定をする商標等に適用される。

(5) 条約国商標権者の同意のない商標出願・登録の禁止

[旧法] 工業所有権の保護に関するパリ条約(Paris Convention for Protection of Industrial Property)
第6条の7に関して、外国商標権者の国内代理人若しくは代表者が同一・類似の商標を国内で
無断で出願する場合、情報提供若しくは異議申立てがある場合のみ審査し、取消審判事由として
5年の除斥期間が存在。

[新法] 情報提供若しくは異議申立てがなくても当該事由を審査官が審査することができ、除斥期間
のない無効審判事由に規定。

旧法では、外国商標権者の国内代理人若しくは一定の契約関係にある者が同一・類似
の商標を国内で無断で登録した場合、外国商標権者が知らずに除斥期間5年が過ぎた場合、
その外国商標権者の商標が周知・著名で無効審判の対象にならなければその商標を
取り戻すことが難しい面があった。新法では、外国商標権者がその商標に蓄積された
信用の真の権利を有すべきであるにも拘わらず国内商標権者が自ら放棄又は
譲渡しなければその商標を取り戻すことが難しいという国際的趨勢に合わない面を改善した。

本規定は2016年9月1日以降に出願される商標等に適用される。

3. 結び

今般の韓国商標法全部改正は、上記のような主な改正内容以外にも、
条文の不明確な記載部分を簡潔に表現し文脈を整理する等、一般国民が法に接近しやすいよう
努力がなされており、韓国政府では出願人の便宜を図るために、韓国商標法全部
改正以外にも様々な政策を準理している。
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