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2024ホ12272登録無効(上):商標法第34条第1項第20号の適用の可否についての判示

弁理士 趙 聲蓮

1.序論
商標法第34条第1項第20号は「同業・雇用等の契約関係や業務上の取引関係又はその他の関係を通じて他人が使用中又は使用を準備中である商標であることを知りつつその商標と同一・類似の商標を同一・類似の商品に登録出願した商標は、商標登録を受けることができない」と規定しているが、これは、他人との契約関係等を通じて他人が使用中又は使用を準備中である商標を知り得ただけで、その商標登録を受けることができる権利者でない者が他人に対する関係において信義則に反して先使用商標と同一・類似の商標を同一・類似の商品に登録出願した場合その商標登録を許容しないことにその立法趣旨がある。

また、本規定の適否について判例では、他人と出願人の内部関係、契約が締結された場合当該契約の具体的内容、先使用商標の開発・選定・使用経緯、先使用商標が使用中である場合その使用を統制していた者又は先使用商標を使用する商品の性質又は品質を管理してきた者が誰か等を総合的に考慮して判断すべきである(大法院2020年9月3日宣告2019フ10739判決、大法院2020年11月5日宣告2020フ10827判決等参照)として、その判断基準が確立してきている。
そして最近、特許法院の判決において上記の判断基準に基づき本規定の適否を具体的に判断しているところ、以下で検討する。

2.基礎事実
本件において原告の本件登録商標及び被告の先使用商標の書誌情報は次のとおり。

原告の本件登録商標
標章:NK365
(出願日/登録日/登録番号:2016年9月8日/2017年9月11日/商標登録第1284520号;以下「本件登録商標」という)

被告の先使用商標
標章:NK365
使用商品:健康機能食品
使用期間:2016年7月頃から本件登録商標の出願時まで

3.特許法院の判決
特許法院は、原告の本件登録商標の登録が被告に対する関係において信義則に反すると認定したところ、その具体的判断は次の通り。

1)原告と被告との間で作成された業務提携契約及び製品供給契約に基づき、被告は製品を企画・生産して原告に供給し、原告は生産された製品の所有権を保有しつつ被告に技術料を支払い、原告と被告は各自の費用で自社のプラットフォームを通じて製品を広告・販売し、共同マーケティングのために互いの商標を使用できたとみて、原告と被告は本件製品を共同で開発・販売するための協力関係にあったと判断
2)具体的に、製品供給契約第1条には「被告が企画・開発した製品を原告が発注し、被告がこれを生産・供給する」との内容が明示されている点、原告は被告が本件製品を開発したと積極的に広告した事情を考慮したとき、製品に関する企画・開発・生産を担当した被告を単なる委託生産者又は代理店に過ぎないとはみることができないと判断
3)業務提携契約第8条第1項には「原告と被告が共同で開発した本件製品に関する知的財産権(個別認証に関する権利を含む)の登録に係る費用は、共同で負担するようにするとともに、当該知的財産権に関する権利は、原告と被告が共同で所有するようにする。」と記載されていることを根拠に、このような共同帰属の約定に本件製品の商標に関する権利も含まれるとは明示されていないものの、少なくとも上記契約内容等をみると、原告と被告が対等な地位で共同で事業を遂行したと判断
4)原告が被告に対して「NK365は商標登録の可能性が低いので、別途の商標登録なしにNK365を製品名として使用することを考慮してほしい」とした点を考慮するとき、当時、原告と被告の意思が本件登録商標に関する権利を原告に単独で帰属させようとしたとはみることができないと判断

4.結語
上記において摘示したように、当該判決では、原告と被告は協力関係にあり、原被告間で締結された契約書の内容を考慮したとき、被告の地位を単に委託生産者又は代理店程度に過ぎないとみることができないだけでなく、原告及び被告は対等な地位で共同で事業を行い、本件登録商標の選定、使用経緯を考慮したとき、原告に本件登録商標が単独で帰属するとみることができないと判示し、従来の本規定の判断基準を個別事案に具体的に適用した。

また、本判決では、本規定は、同業・雇用等の契約関係や業務上の取引関係等を通じて他人が使用中又は使用を準備中である商標であることを知りつつ当該商標と同一・類似の商標を同一・類似の商品に商標登録出願することが信義則に反するか否かに関するものであって、そのような商標を共同出願する義務があるか否かに関するものではないとし、両者は影響を与え合わないことを明示したという点でも、注目する必要があると判断される。
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