「Dew」と結合された多数の先登録商標が存在しているため出願商標「DEW」は自他識別力がないとした判決(特許法院2021ホ5099)
弁理士 鄭 錫鳥
特許法院は、第32類「mineral waters, fruit beverages and fruit juices」などを指定商品とした出願商標「DEW」について、「Dew」と結合された多数の先登録商標が存在しているため、自他商品の出所表示として識別力が不足するだけでなく、公益上特定人に独占させることが適当でない商標に該当すると判決した。
1. 事件の概要
ア. 特許庁は、第32類「mineral waters, fruit beverages and fruit juices」などを指定商品とした出願商標「DEW」(出願番号: 40-2019-22319、出願日: 2019年2月13日)は先登録商標「Farm Dew」(第40-913131号)、「Dew Brew」(第40-1425487)、「Solar Dew」(第40-0925364号)に類似し(商標法第34条第1項第7号)、需要者が誰の業務に係る商品を表示するのかを識別することができない商標(商標法第33条第1項第7号)に該当すると登録拒絶決定(2020年2月6日)。
イ. 原告は上記拒絶決定に対し、特許審判院に不服審判を請求(2020年3月6日)。
ウ. 特許審判院は、出願商標は「需要者が誰の業務に係る商品を表示するのかを識別することができない商標(商標法第33条第1項第7号)に該当するというべきであるから、他の拒絶理由に該当するかどうかについて考察する必要なく、拒絶決定は妥当である」と審判請求を棄却(2021年7月15日)。
エ. 原告は特許審判院の審決を不服とし、特許法院に審決取消訴訟を提起。
2. 特許法院判決(2022年6月9日)要旨
ア. 「Farm Dew」(第40-913131号)、「Dew Brew」(第40-1425487号)」、「Solar Dew」(第40-0925364号)」、「SODADEW」(第40-1031160号)、「ALMONDDEW」(第40-1002288号)、「DEWOIL」(第40-923398号)、「SUN DEW」(第40-1219548号)、「Dew Coffee」(第40-1678755号)、「ALOEDEW」(第40-277451号)、「진생듀」(第40-1242609号)などのように、「Dew」やそのハングル音域である「듀」を含む数多くの結合標章が、出願商標の指定商品と同一・類似の飲料製品に登録されている。
イ. 英単語「Dew」、すなわち「露」は、「空気中の水蒸気が草の葉や木の枝に凝結して結んだ小さな水滴」を意味し、「晴らかさ、涼やかさ、清明さ」などのイメージを思い浮かべるので、出願商標の指定商品である商品類区分第32類の鉱泉水および炭酸水等についてみるとき、その清涼感を強調するために広く使われる可能性が高い単語である。
上記のように「Dew」を含む多数の先登録商標が存在しており、「Dew」は清涼感を強調するために飲料などに多数人が使用していたり使用したい単語であり、出願商標の指定商品について自他商品の出所表示として識別力が不足するだけでなく、公益上特定人に独占させることが適当でない。
したがって、出願商標は商標法第33条第1項第7号に該当するから、商標登録を受けることができないとした審決は、違法な事項がない。
3. むすび
空気中の水蒸気が草の葉や木の枝に凝結して結んだ小さな水滴を意味する「Dew」という単語が、指定商品「飲料」などにおいて本質的に識別力のない記述的単語とみることはできないのである。原材料を示す「SODA」、「ALMOND」、「COFFEE」、「ALOE」、「GINSENG」などのような識別力のない単語と「DEW」とが結合された商標が登録されているのは、「DEW」が識別力のある単語であるとの判断によるものである。
しかしながら、上記のように識別力のない単語と「DEW」とが結合された多くの商標の登録や、識別力のある複数の単語と「DEW」とが結合された多くの商標の登録は、出願商標「DEW」は自他識別力が不足し、公益上特定人に独占させることが適当でない商標に該当するとした特許法院判断の根拠となっている。
|
|