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識別力のない標章でのみ結合された商標に関する判決集

弁理士 鄭 錫鳥

1.関連規定
特許庁の商標審査基準は、識別力のない標章でのみ結合された商標は原則として、全体として観察し識別力がないと認められる場合拒絶するようにし、結合により新たな関連または識別力を形成する場合には識別力があるものとみなすと規定している(韓国商標法第33条第1項第7号)。

2.特許法院判決
出願商標について識別力のない標章でのみ結合されたものと登録を拒絶した特許庁の決定を不服として提起した拒絶決定不服訴訟において特許法院は以下のように判断した。

(1) 識別力のない商標

① 事件番号: 2016ホ5477 / 商標: Dr. BRANDNEW (韓国商標出願第40-2014-68260号)
- 判決要旨: 「専門家」の意味を持つ「Dr.」と「新しい」の意味を持つ「BRANDNEW」とが結合した商標は、その結合により「新製品に関する専門家」以上の新たな観念を導き出したり、新たな識別力を形成したりしない。

② 事件番号: 2014ホ5978 / 商標: Kinder/+SPORT (word and device) (国際登録第976678号)
- 判決要旨: 「子ども」を意味する「kinder」、「+」及び「SPORT」で結合された出願商標は、単語自体が持っている「子どもスポーツ」という観念以上の新たな観念を形成するものではない。

(2) 識別力のある商標

① 事件番号: 2019ホ4390 / 商標: Aero_K/에어로케이 (韓国商標出願第40-2017-74672号)
- 判決要旨: 「Aero_K/에어로케이」は、特に関連性のない「Aero」および「K」の文字部分が図形部分あるいはハイフンで結合された標章で、このように特色のある結合により見る者の特別な注意を引く程度の識別力を形成するとみるのが妥当である。

② 事件番号: 2017ホ1564 / 商標: PRIMEWELL (国際登録第1212610号)
- 判決要旨: 「PRIMEWELL」は、英文法に合わない表現で、「PRIME」と「WELL」の単なる結合を超えて特異性が認められ、「品質の優れた」という意味に直感されるとみることができない。

③ 事件番号: 2015ホ1652 / 商標: AT HOME OUTDOORS (国際登録第1142844号)
- 判決要旨: 「AT HOME」と「OUTDOORS」の二つの単語が結合したものと認識されるとしても、その意味がまったく相反して自然につながりもしないので、その全体から何らかのはっきりした意味や観念を直ちに直感することができるとはみがたい。

3.むすび
上記判決から、識別力が否定された商標と識別力が認められた商標とは、単語の構成などにおいて大きな差はないことが分かる。
ただし、識別力が認められた商標の構成をみると、識別力のない単語が文法に合わないように組み合わされている場合(PRIMEWELL)や、対照的な観念を持つ単語からなっている場合(AT HOME OUTDOORS)や、普通に使用されるものとは異なって変形された場合(Aero_K/에어로케이)である。
このように、識別力を認めた判決を参考にし、識別力のない標章を結合した商標を出願する際には、単語を語法に合わないように配列したり、対照的な観念を持つ単語で組み合わせたりして、一般需要者が単語の単なる結合ではなく新造語と感じる程度に変形して出願すれば、登録可能性が高まる。
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