2021年韓国商標法の主な改正事項
(改正日:2021年10月19日、施行日:2022年4月20日)
弁理士 鄭 錫鳥
韓国特許庁は2021年10月19日に「『優先権を主張した商標登録出願の分割出願』、『明白な拒絶理由を発見した場合商標登録決定後の職権再審査』、『質権行使等による商標権の移転に伴う通常使用権』条項の新設」、「補正却下決定及び拒絶決定に対する審判請求期間の拡大」という内容で商標法を改正した。
その内容は次の通り。
❖ 分割出願時に出願人の過誤等で優先権主張の趣旨の記載等が欠落している場合、優先権主張期間内に出願された他の商標登録出願により当該商標登録出願の登録が拒絶される問題を防止するため、第45条(出願の分割)第3項及び第4項を新設
③ 分割の基礎となった商標登録出願が第46条により優先権を主張した商標登録出願である場合には、第1項により分割出願をしたときにその分割出願についても優先権主張をしたものとみなし、分割の基礎となった商標登録出願について第46条により提出された書類又は書面がある場合には、その分割出願についても当該書類又は書面が提出されたものとみなす。
④ 第3項により第46条による優先権主張をしたものとみなす分割出願については、分割出願をした日から30日以内にその優先権主張の全部又は一部を取り下げることができる。
❖ 瑕疵ある出願商標の登録を防止し、商標登録の無効の可能性を事前に遮断するため、第68条の2(商標登録決定後の職権再審査)を新設
① 審査官は、商標登録決定をした出願について明白な拒絶理由を発見した場合には、職権で商標登録決定を取り消し、その商標登録出願を再審査(以下、「職権再審査」という。)することができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合には、この限りでない。
1. 拒絶理由が第38条第1項に該当する場合
2. その商標登録決定により商標権が設定登録された場合
3. その商標登録出願が取り下げられ又は放棄された場合
② 第1項により審査官が職権再審査をするためには、商標登録決定を取り消すという事実を出願人に通知しなければならない。
③ 出願人が第2項による通知を受ける前に、その商標登録出願が第1項第2号又は第3号に該当することになった場合には、商標登録決定の取消しは、初めからなかったものとみなす。
☞ 国際商標登録出願については、第68条の2を適用しない(商標法第193条)。
❖ 競売等によって他人に商標権又は共有商標権が移転されても、その商標権者がその登録商標を使用している場合には、通常使用権を付与して商標を継続して使用できるようにするため、第104条の2(質権行使等による商標権の移転に伴う通常使用権)を新設
商標権者(共有商標権を分割請求した場合には、分割請求をした共有者を除く残りの共有者をいう。)は、商標権を目的とする質権設定又は共有商標権の分割請求前に指定商品についてその登録商標を使用している場合には、その商標権が競売等によって移転されても、その商標権について指定商品のうち使用している商品に限定して通常使用権を有する。この場合、商標権者は、競売等によって商標権の移転を受けた者に相当の対価を支給しなければならない。
❖ 出願人に十分な審判請求期間を提供するため、第115条(補正却下決定に対する審判)及び第116条(拒絶決定に対する審判)の審判請求期間を拡大(30日→3か月)
補正却下決定及び拒絶決定に不服がある場合には、その決定の謄本の送達があった日から3か月以内に審判を請求することができる。
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