商標登録を受けることができない商標
自他商品の識別力を備えた商標であっても、登録を認めるのに適していない商標について登録を受けることができない事由として、商標法は次のように規定している。
1.大韓民国の国旗・国章等の尊厳性と品質保証機能をする監督用や証明用印章等の権威を維持するために、商標法第34条第1項第1号において、「大韓民国の国旗、国章、軍旗、勲章、褒章、記章、大韓民国又は公共機関の監督用や証明用印章又は記号と同一又はこれと類似する商標」は登録を受けることができないと規定している。
2.著名な国際機関の権威を維持し、これらの名称や略称と同一・類似する商標の登録を認めるようになれば、使用者がこれら機関と特殊な関係にあるように誤認・混同を起こすおそれがあるため、これを防止するために、商標法第34条第1項第1号の3において、「国際赤十字、国際オリンピック委員会又は著名な国際機関の名称、略称、標章と同一又はこれと類似する商標」は登録を受けることができないと規定している。
但し、国際赤十字、国際オリンピック委員会又は著名な国際機関が、自己の名称、略称又は標章を商標登録出願したときには、登録可能である。
3.同盟国等又はその公共機関の監督用や証明用印章等の権威を維持し、監督用や証明用印章等は品質保証的性格が強いため品質誤認から需要者を保護するために、商標法第34条第1項第1号において、「パリ条約第6条の3に従い世界知的所有権機構から通知を受けて特許庁長が指定した同盟国等又はその公共機関の監督用や証明用印章又は記号と同一又は類似の商標であって、その印章又は記号が使用されている商品と同一又は類似の商品について使用するもの」は登録を受けることができないと規定している。
4.国家・人種・民族等に対する権威と尊敬を認定して国際的な信義を維持し、著名な故人やその遺族の名誉と人格を保護するために、商標法第34条第1項第2号において、「国家・人種・民族・公共団体・宗教又は著名な故人との関係を虚偽に表示したり、これらを誹謗又は侮辱したり、これらに対して悪い評判を受けさせたりするおそれがある商標」は登録を受けることができないと規定している。
5.著名な業務を表示する標章を有する国家や公益団体の業務上の信用と権威を保護し、それが商品に使用されれば、一般需要者や取引者に商品出所について誤認・混同を起こさせるおそれがあるので、これより一般公衆を保護するために、商標法第34条第1項第3号において、「国家・公共団体又はこれらの機関と公益法人の営利を目的としない業務又は営利を目的としない公益事業を表示する標章であって、著名なものと同一又は類似の商標」は登録を受けることができないと規定している。
但し、国家・公共団体又はこれらの機関と公益法人又は公益事業体において自己の標章を商標登録出願したときには、その限りでない。
6.自他商品の識別力を備えた商標であっても、公益的見地において社会公共の利益保護、一般の道徳観念の維持、国際的な信義の保護等のために、善良な風俗や公共の秩序を害するおそれがある商標については、商標法第34条第1項第4号において、「商標それ自体又は商標が商品に使用される場合、需要者に与える意味と内容等が一般人の通常的な道徳観念である善良な風俗にはずれたり、公共の秩序を害したりするおそれがある商標」は登録を受けることができないと規定している。
7.商品やサービス業の出所の誤認・混同を防止するための規定というよりは、著名な他人の氏名・名称等を保護することにより他人の人格権を保護するために、商標法第34条第1項第6号において、「著名な他人の氏名・名称又は商号・肖像・署名・印章・雅号・芸名・筆名又はこれらの略称を含む商標」は登録を受けることができないと規定している。
但し、その他人の承諾を得た場合には、その限りでない。
8.先登録商標権者の独占排他的な商標権を保護し、同一・類似の商品に他人の同一・類似する商標が登録されて商品出所の誤認・混同を防止するために、商標法第34条第1項第7号において、「先出願による他人の登録商標と同一又は類似の商標であって、その指定商品と同一又は類似の商品に使用する商標」は登録を受けることができないと規定している。
9.特定人の商品を表示するものであると需要者間に顕著に認識されている商標と同一又は類似の標章を同一又は類似の商品に登録を受けて使用する場合、需要者に商品出所の誤認・混同を起こさせるおそれがあるため、これを予防し、さらにはその周知商標使用者の利益を保護するために、商標法第34条第1項第9号において、「他人の商品を表示するものであると需要者間に顕著に認識されている商標と同一又は類似の商標であって、その他人の商品と同一又は類似の商品に使用する商標」は登録を受けることができないと規定している。
10.著名商標の識別力や名声を損傷させるおそれがある場合、登録を許さないことにより商標に化体された財産的価値を保護するために、商標法第34条第1項第11号において、「需要者間に顕著に認識されている他人の商品や営業と混同を起こさせたり、その識別力又は名声を損傷させたりするおそれがある商標」は登録を受けることができないと規定している。
11.正当な商標使用者でない第三者が不正な方法でこれと同一又は類似する商標の登録を受けて正当な商標使用者の使用を排斥したり、不当な利益を得ようとしたりする等、不正な目的をもって出願する商標については、事前に登録を排除して健全な商取引秩序を維持し、模倣商標による一般需要者らの誤認・混同を防止するために、商標法第34条第1項第13号において、「国内又は外国の需要者間に特定人の商品を表示するものであると認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不当な利益を得ようとしたり、その特定人に損害を加えようとしたりする等、不正な目的をもって使用する商標」は登録を受けることができないと規定している。
12.他人との契約や取引関係等、特定の関係にあった者が、これを通じて知るようになった他人の商標を自己が出願する等、信義誠実の原則に反する商標について登録を許さないために、商標法第34条第1項第20号において、「同業・雇用等、契約関係や業務上の取引関係又はその他の関係を通じて他人が使用したり、使用を準備中であったりの商標であることを知りながら、その商標と同一・類似の商標を同一・類似の商品に登録出願した商標」は登録を受けることができないと規定している。 |
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