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均等侵害に関する最近の特許法院判例

1. はじめに
韓国特許法では、特許発明の保護範囲は請求範囲に記載されている事項によって定められており(韓国特許法第97条)、代表的な特許権侵害としては、特許請求の範囲に記載された構成要素の全てを侵害対象物が実施する場合である文言侵害と、侵害対象物の構成要素が特許請求の範囲の一部構成と文言上同一でなくても互いに等価関係にある場合である均等侵害がある。
このうち、均等侵害に関連して注目すべき最近の特許法院判例(特許法院2020年11月19日宣告2020ホ3782判決)があるので、紹介したい。

2. 事案の内容
1) 事案の経緯
被告は特許権者である原告を相手取って、確認対象発明の作業台のワンタッチ型脚折り畳み装置は原告特許の第1項発明(以下「第1項発明」という)の権利範囲に属さないと主張しながら、特許審判院に消極的権利範囲確認審判を請求し、特許審判院は、確認対象発明は第1項発明の権利範囲に属さないとの理由で、被告の権利範囲確認審判請求を認容する審決をし、そうして原告は、確認対象発明は原告特許の第1項発明と均等な構成として第1項発明の権利範囲に属すると主張しながら、特許法院に訴えを提起した。

2) 特許発明と確認対象発明との比較
第1項発明のロック具(140)は、ボタン(142)が備えられた移動バー(146)、ロック突起(149)が形成されたロック本体(148)、固定手段であるナット(144)が分離形成されるのに対し、確認対象発明の対応構成要素であるロッキングユニット(130)は、ロッキング片(131)の頭部(131a)、アンロッキング部(131b)とロッキング部(131c)、スプリング支持部(131d)、固定手段である突起部(131e)が一体に形成されるという点でのみ差異があるため、結局、確認対象発明のロッキングユニット(130)が第1項発明のロック具と均等な構成に該当するかどうかが問題となった。

3. 特許法院の判断
1) 関連法理
侵害製品等に特許発明の特許請求の範囲に記載された構成のうち変更された部分がある場合においても、特許発明と課題解決原理が同一であり、特許発明と実質的に同一の作用効果を奏し、そのように変更することがその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば容易に想到し得る程度であれば、特別な事情がない限り、侵害製品等は特許発明の特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして依然として特許発明の特許権を侵害するとみなければならない(大法院2014年7月24日宣告2013ダ14361判決等)。

2) 課題解決原理が同一であるかどうかの判断
第1項発明と確認対象発明はいずれも、「ボタン(頭部)の押し又は押し解除により復元スプリング(スプリング)の圧縮力又は復元力が作用して、ロック突起(ロッキング部)によるロック溝(端部)への係止が解除されるか、又はロック突起(ロッキング部)がロック溝(端部)に嵌り込みながら係止状態となる構成」を採用しているため、第1項発明と確認対象発明は、課題解決原理が同一である。

3) 作用効果が同一であるかどうかの判断
第1項発明と確認対象発明はいずれも、上記構成を採用して、簡単なボタン操作により脚を安定に展開し、固定状態を維持する作業台のワンタッチ型脚折り畳み装置を提供する効果を有するという点で作用効果が同一である。

4) 置換が容易であるかどうかの判断
第1項発明の構成要素4のロック具は、ボタンが備えられた移動バー、ロック突起が形成されたロック本体、固定手段であるナットが分離形成されるのに対し、確認対象発明の対応構成要素であるロッキングユニットは、ロッキング片の頭部、アンロッキング部とロッキング部、スプリング支持部、固定手段である突起部が一体に形成されるという点で差異がある。しかし、移動バー、ロック本体、固定手段の機能を果たす構成を分離して形成するのか、それともこれを一体に形成するのかは、通常の技術者が製造及び作業の便宜性、経済性等を考慮して適宜選択することができる事項に過ぎず、第1項発明の移動バー、ロック本体、固定手段を確認対象発明のように一体に形成することは、通常の技術者が必要により変更することができる程度に過ぎないから、置換に困難があるとみがたい。

5) 結論
第1項発明のロック具は、確認対象発明の対応構成要素であるロッキングユニットとは均等関係にあり、第1項発明の残りの構成要素は全て、確認対象発明に含まれているから、確認対象発明は、第1項発明の権利範囲に属する。

4. コメント
本判決は、均等侵害の判断時における、課題解決原理が同一であるかどうか、作用効果が同一であるかどうか、及び構成要素の置換が容易であるかどうかに関する具体的事例として、類似する他の事例にも適用することができる具体的な1つの基準が提示されたという点で意義がある。
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