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特許審判院の改編

1. 特許審判院の概要
韓国の特許審判院は、行政官庁である特許庁の所属機関で、特許・実用新案・デザイン・商標に関する審判と再審及びこれに関する調査と研究に関する事務を管掌する。

審判は、審査官の処分又はその処分により付与された権利に係る紛争を解決する特別行政審判で、韓国では、特許庁の行政処分について特許審判院の審決をまず受けた後にのみ法院に訴えを提起することができる審判前置主義が適用されている。

特許審判院は、審判官の資格を有する特許審判院長を筆頭に各審判部を担当する審判長と審判官から構成されており、審決は、事件の重要度によって3名又は5名の審判官から構成される合議体の決定により行われる。すなわち、公正かつ信頼性のある審決のためには、審判官合議体の円滑な運営が先決となる。

2. 2020年7月14日から特許審判院の審判部を全面改編
これまでの特許審判院は、11の審判部と審判長11名、審判官96名から構成され、審判長1名あたり約9名の審判官を統率する必要があった。このような構造により、充実した審理を確保するために構成される3名の合議体が形式的にのみ運営される限界があった。このような形式的な3名の合議体運営により、年間処理される1万件あまりの事件の殆どが書面で審理され、充実した審理のための口述審理を行うのに難しさがあった。

これを解消するために、特許審判院は2020年7月14日から、審判部を11から36に拡大し、各審判部を担当する審判長の資格要件を審査・審判・訴訟の経験を兼ね備えた課長級に緩和し、36名の審判長を確保した。

改編された審判部は事件の重要度と難易度によって、局長級首席審判部、課長級対等審判部、課長級一般審判部に区分される。特に、課長級対等審判部では、3名の審判長が合議体を構成し、争点に対する深度ある討論を通じて結論を導き出し、重要な事案の審理がより強化される予定である。

拡大された審判部の各審判長は、審判部別審判品質モニタリング及び審判部間討論を活性化して審判の判断統一性を高め、審判品質の向上を図る。

上記審判部の改編は、米国・欧州・日本・中国等の主要国の審判部が1名の審判長と2名の審判官からなる3名の審判部から構成され、実質的な合議体として運営されることに照らし国際基準に合致した改編との評価を受けている。

3. 特許審判院の改編が示唆するもの
審判部の全面改編を通じて、審判部別各事件あたりの審理時間をより確保できるため、審判官合議体の現実的な運営が可能となり、口述審理の活性化が期待でき、審判部別専門化により、特許審判の専門性が向上するものと予想される。

一方、口述審理拡大により、従来に比べて審決まで要する時間は多少増加するものと思われ、審判部別専門化及び審理強化により、審判当事者間論理争いがさらに先鋭化するものと予想されることから、審判の遂行にあたっては、事件の争点に対する深度ある分析及び口述審理の準備が必要であるものと思われる。

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