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特許侵害による損害賠償額の現実化のための特許法改正(2020年12月10日施行予定)

特許権者の生産能力を超える特許侵害者の製品販売についても損害賠償をさせる特許法改正案が2020年12月から施行される。

韓国において特許侵害による損害が発生したとき、特許権者は、民法に規定された不法行為による損害賠償を請求することができる。しかしほとんどの場合、特許権者が損害額を立証することが容易でないため、特許法は、第128条(損害賠償請求権等)を設けて特許権者の立証責任を緩和させている。

現行の特許法第128条第2項によると、特許侵害による特許権者の逸失利益(lost profit)は、「侵害者による侵害品の譲渡数量」に「特許権者製品の単位数量当たりの利益額」を乗じて算定されるのが基本である。ところが、同条第3項によると、第2項により算定される損害額は、「特許権者の生産可能数量」に「製品の単位数量当たりの利益額」を乗じたものを超えることができない。すなわち、特許権者の生産能力が、損害額算定の上限に働くのである。

現行の特許法第128条第2項及び第3項については、これら条項が、特許権の属性、すなわち権利者自ら特許製品を生産しつつ第三者にも特許を使用させて実施料を受け取ることができるようにするという点を反映できず、侵害品の譲渡数量が特許権者の生産能力を超えると却って侵害が利益となる不合理を生じさせる場合がある点等、特許権者の保護が不十分であるという批判が提起されてきた。

これを受け、今回の改正案では、i) 特許権者の生産能力範囲内の侵害については、現行制度のように、「侵害者による侵害品の譲渡数量」に「特許権者製品の単位数量当たりの利益額」を乗じて損害額を算定し、ii) 特許権者の生産能力範囲外の侵害については、「生産能力超過数量」に「合理的な実施料相当額」を乗じて損害額を算定した後、i)とii)とを合わせた金額を損害賠償額として請求できるように明文化した。

例えば、特許権者が特許製品を生産することができる能力が1000個であり、侵害者が3000個の侵害品を販売した場合、現行法によれば、特許権者の生産能力を超える2000個については、まともな損害賠償を受けることが困難であった。しかし、今回の改正法を適用すれば、上記1000個については、現行方式通りに侵害者の譲渡数量に単位数量当たりの利益額を乗ずる方式を基本にして計算された損害額を請求し、特許権者の生産能力を超える2000個については、合理的な実施料相当額を請求できるようした。

このように、逸失利益と実施料相当額とを合算して損害賠償額を算定する方式は、過去の下級審において適用された事例があるにはあったが、一般的に認められて適用される方式ではなかった。

今回の改正法が施行されることによって、生産能力の弱い企業、例えばベンチャー企業や中小企業の特許権の保護が強化されるものと期待される。また、2019年7月から施行されている懲罰的損害賠償制度(故意的な特許侵害について3倍まで損害賠償額が認められる制度)と組み合わせれば、損害賠償額の規模がさらに大きくなるため、特許権者をより厚く保護できるものと考えられる。
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